家畜のオスとメス 産み分けの新技術開発
以下は、記事の抜粋です。
畜産業では、メスのウシから牛乳を生産するなど、オスやメスのどちらかを必要とするケースが多くあります。
オスとメスは、受精した精子に含まれる性染色体がY型だとオスになり、X型だとメスになりますが、これまで、高額な機器を使って含まれているDNAの量のわずかな差を計測する方法しかなく、産み分けを行うにはコストが高いため、あまり普及してきませんでした。
広島大学の島田昌之教授のグループが精子で働いている遺伝子を詳細に調べたところ、メスになる精子では免疫に関係するとされる「TLR7」と呼ばれる分子などがあり、オスになる精子にはこの分子がないことがわかったということです。
グループでは、この分子を目印にすると、オスになる精子とメスになる精子を試験管の中で簡単に分離でき、ブタではおよそ70%の確率で狙いどおりに産み分けることができたとしています。
元論文のタイトルは、”Activation of Toll-like receptor 7/8 encoded by the X chromosome alters sperm motility and provides a novel simple technology for sexing sperm”です(論文をみる)。
Toll様受容体(Toll-like receptor:TLR)は1型膜貫通タンパク質で、自然免疫において病原体のセンサーの役割を担うとされています。ヒトでは10種類の
Toll様受容体が同定されています。TLR7はグアノシンおよびウリジンに富んだ1本鎖RNAを認識すると考えられていますが、グアノシン、グアノシンのアナログなどの低分子リガンドによっても活性化されるようです。
マウスの精子ではTLR7はX染色体によってコードされているそうです。マウスの精子に培養液とTLR7受容体を刺激する薬剤を加えると、運動を止めたX精子は下層に沈殿し、影響を受けないY精子が上層に集まります。上層と下層からそれぞれ採取した精子を体外受精してマウスに移植すると、上層の約8割から雄が、下層の約8割から雌が生まれたということです。
ヒトにも応用できそうなのが恐いです。
コメント