体内時計狂うと高血圧に、不規則生活が原因 京大
以下は、記事の抜粋です。
不規則な生活はやはり高血圧を招く――。日常の生活リズムの乱れが高血圧を引き起こす仕組みを、京都大の岡村均教授らのグループがマウスを使った研究で明らかにした。体内時計が狂うと、副腎で血圧を上げるホルモンを作る酵素が過剰に働いた。昼夜交代制の職場で働く人は高血圧症が多いが、原因はわかっていなかった。
新たな治療薬開発につながる成果で、米科学誌ネイチャー・メディシン電子版に12月14日発表した。遺伝子組み換え技術で体内時計を働かなくしたマウスを作り、塩分の多い食事を与えた。すると体内に食塩と水をため込むホルモンを作るHsd3b6という酵素の活動が活発になり、血圧上昇ホルモンが過剰に働くようになった。その結果、食塩を排出できずに高血圧が引き起こされていることがわかった。
元の論文のタイトルは、Salt-sensitive hypertension in circadian clock–deficient Cry-null mice involves dysregulated adrenal Hsd3b6です(論文の要約をみる)。
体内時計を動かなくしたマウスというは、Cry1とCry2のダブルノックアウトマウスです。食塩と水をため込むホルモンというのは、アルドステロンです。Hsd3b6はアルドステロン合成酵素で、Hsd3b6遺伝子の転写は夜多く、昼低い概日リズムを示すのですが、Cryダブルノックアウトマウスではリズムが失われ、転写レベルが上がりっぱなしになるそうです。
ヒトには、HSD3B1というHsd3b6の相同遺伝子があるそうなので、同様な制御を受けているかもしれないということです。しかし、「昼夜交代制の職場で働く人は高血圧症が多い」というのが、概日リズムが乱れるためだとしても、どうして「新たな治療薬開発につながる」のか?良くわからないです。このような高血圧には、既存の抗アルドステロン薬(スピロノラクトンなど)が良く効くはずです。
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