テストステロンが人間を攻撃的にするという「定説」を否定、研究
以下は、記事の抜粋です。
男性ホルモンの一種であるテストステロンが人間を攻撃的にすることは定説として広く信じられているが、これに異議を唱える研究が、12月8日の英科学誌に発表された。
テストステロンは男性の睾丸で分泌されるホルモンで、女性の子宮でも少量ながら分泌され、脳の発達や性的行動に影響を与える。これまでの研究で、テストステロンはげっ歯類の攻撃性を増大させることが知られている。これが人間にも当てはまり、テストステロンが反社会的、利己的、攻撃的な行動を誘発するとされ、米国ではステロイドによって引き起こされた暴力が正当防衛と認められたケースさえある。
Zurich大学の研究者らは、人間では動物と同じ効果はないとしている。研究では、女性被験者120人にテストステロンまたは偽薬(プラセボ)を与え、お金の取り分を交渉させる実験を行った。その結果、テストステロンを与えられた被験者は、偽薬を与えられた被験者より正当かつ公平な申し出をし、断られるリスクを最小限に抑えようとする傾向にあることが分かった。
これは、テストステロンの投与により社会的地位に対する意識が高まり、テストステロンを与えられた被験者が偽薬を与えられた被験者より社会的地位を重視したことを示している。Zurich大学のChristoph Eisenegger氏は「テストステロンが人間に攻撃的で利己的な振る舞いのみを引き起こすという説が明確に否定された」とした。
論文のタイトルは、Prejudice and truth about the effect of testosterone on human bargaining behaviourです(論文をみる)。
平均年齢25.16歳の121人の女性に対して、0.5mgのテストステロンあるいはプラセボを舌下錠で投与し、その4時間後に各自の攻撃性を判定するゲームをさせる、良く考えられたダブルブラインド実験です。テストステロンの効果に関する「定説(folk hypothesis)」が非常に強力で、テストステロンを投与されていなくても、投与されたと信じるだけで攻撃的な振る舞いをすることが示されたそうです。
私もこの「定説」を信じていて、今までずーっと男性ホルモンの多い人はアグレッシブだと思っていました。今後は、かなり人をみる目が変わるような気がします。
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