インフルの治療薬「ゾフルーザ」患者の70%余から耐性ウイルス
以下は、記事の抜粋です。
塩野義製薬の「ゾフルーザ」(一般名:バロキサビル マルボキシル)は、去年3月から販売が始まった新しいインフルエンザ治療薬です。
1回の投与で効果が期待できるとされ、今月上旬までの5か月余りの出荷量は560万人分余りと、インフルエンザ治療薬として今シーズン最も多く使われたとみられています。
国立感染症研究所の分析では、ゾフルーザが投与されたA香港型のインフルエンザ患者30人のうち、22人から耐性ウイルスが検出され、その割合は73%に上ることが分かりました。
また、ゾフルーザを服用していない83人の患者のうち、3人から耐性ウイルスが検出され、耐性ウイルスがヒトからヒトに感染した可能性があるとされています。
専門家の一人は、現在のような使用を続けると耐性ウイルスが広がるおそれがあると指摘したうえで、「ゾフルーザは患者が重症化した時などに効果が高いと考えられ、通常の患者への処方は制限するなど、使用する基準を見直すべきだ」と指摘しています。
国内でインフルエンザの治療に使われる薬は、ゾフルーザを含めて主に5種類あります。ゾフルーザ以外の4種類はいずれも、インフルエンザウイルスが増えたあと、細胞の外に放出されるのを妨げることで治します。
ゾフルーザは、錠剤を1回服用することで効果が出るとされ、ほかの薬とは作用のメカニズムが異なり、ウイルスの増殖を抑えるとされています。
厚生労働省のまとめでは、ことし3月上旬までのおよそ5か月間に全国の医療機関に供給されたゾフルーザはおよそ562万人分で、タミフルのおよそ466万人分の1.2倍になりました。
このためゾフルーザは今シーズン、最も多く使用されたインフルエンザ治療薬だったと見られています。
ゾフルーザについては、塩野義製薬が販売前に臨床試験を行っていて、A香港型インフルエンザ患者に投与した場合、耐性ウイルスは12歳以上ではおよそ11%、12歳未満の子どもではおよそ26%で検出され、耐性ウイルスが比較的、出やすい傾向があることがわかっていました。
またこの試験で、耐性ウイルスは、耐性のないウイルスよりも増殖能力が低下しているとされ、別の人に感染して流行する可能性は低いと推測していました。しかし、耐性ウイルスを詳しく分析したところ、増殖能力は低下しておらず、耐性のないウイルスと比べて増える能力はほぼ変わらないことがわかったということです。
これまで多く使用されてきた別のインフルエンザ治療薬のタミフルでは、A香港型の患者で耐性ウイルスが出ることはほとんどなく、比較的、耐性ウイルスが出やすいとされる「H1N1型」のA型インフルエンザ患者でも0.3%から4%程度とされています。
以前の記事にも書きましたが、1回投与とはいえ、バロキサビル40mgの薬価は4789円で、ほぼ同じ効果で耐性ウィルスが出にくいオセルタミビル(タミフル®)5日分の薬価2720円の1.76倍です。タミフルのジェネリックはさらに安く1360円ですので、バロキサビルはその3.52倍です。この薬のおかげで、「やぶ医者の鑑別診断」ができると言っている人がいます。
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