起立性調節障害(Orthostatic dysregulation)
ごく最近、この病気の存在を知りました。以下は、慶応大学のサイトからの転載です。
起立性調節障害は、自律神経の働きが悪くなり、起立に伴い体や脳への血流が低下する病気です。小学校高学年から中学生で急増します。自律神経は、全身に分布し、各臓器の働きを調節しているシステムです。自律神経は交感神経と副交感神経からなり、互いに反対の作用をもって体のバランスを保っていますが、起立性調節障害では両者のバランスが崩れて、さまざまな症状が現れます。また、自律神経系は心理社会的ストレスの影響を受けやすいです。
症状
立ちくらみ、失神、朝起き不良、倦怠感、動悸、頭痛などの症状が起こります。症状は午前中に強く、午後からは回復するという特徴があります。起立性調節障害の主な症状項目を以下に示します。
- 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
- 立っていると気持ちが悪くなる、ひどくなると倒れる
- 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
- 少し動くと心臓がドキドキするあるいは息切れがする
- 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
- 顔色が青白い
- 食欲がない
- ときどきお腹が痛い
- だるいあるいは疲れやすい
- 頭が痛い
- 乗り物に酔いやすい
これら11項目のうち3つ以上、あるいは2つ以上でも症状が強ければ起立性調節障害を疑い、他の病気ではないことを確認した後、血圧・心拍数の変動などを調べる検査を行い判定します。症状のみでは、思春期には、健常な子どもでも当てはまってしまうことがしばしばあります。
治療
治療は、まず日常生活上の工夫をします。起立する時はゆっくり立ち上がり、長時間立っていることはできるだけ避けます。だるくても日中は体を横にせず、生活リズムを整えましょう。循環している血液量を増やすために、水分と塩分をしっかり摂取することも重要です。気温の高い場所は避けてください。適度な運動を心がけましょう。そして、重症度や心理社会的ストレスの有無に応じて、投薬、環境の調整、心理療法を組み合わせます。
日常生活に支障のない軽症では、適切な治療により2~3か月で改善します。学校を長期欠席するような重症では2~3年以上かかる場合もありますが、焦らず、時間をかけて取り組みます。
原因や病態が十分に解明されておらず、治療方法が確立していないそうですが、薬物治療を含めいろいろと記載があります(論文をみる)。
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