東京女子医大事件

3月1日に「利益相反」のタイトルで書いた「東京女子医大事件」の控訴審判決が昨日行われました(毎日朝日読売東京産経など)。

結果は一審と同じ無罪判決ですが、内容は異なり、佐藤被告の訴えを全面的に認めたものとなりました。

自分の時にも感じましたが、新聞によって扱いが異なります。産経は、「人工心肺誤操作の元東京女子医大医師、2審も無罪」という見出しで、「医師が誤操作したことが事故の原因なのに無罪」という印象を与えています。内容も検察よりです。

逆に、東京新聞は、「女児死亡事故判決 改ざん足かせ 苦渋8年」という記事で詳しく取りあげ、二審の裁判長が「大学から遺族に情報が正確に伝えられず、司法解剖もされなかった。死因をはじめ事実認定に困難が生じ、医療事故の教訓を残した」と異例の説諭をしたことも書いています。さらに、以下のような解説(一部を省略、下線)もあります。


東京女子医大の医療ミス事件で、弁護側の主張を全面的に認めた二十七日の東京高裁判決は、死亡の原因が執刀医側にあったことを示唆し、同大側の初期対応の問題点や捜査の不手際を事実上批判した。

医療事故が起きた直後、女児の脳波を調べず、医療過誤を想定した司法解剖の依頼もしなかった。執刀医は看護師らに証拠隠滅も指示し、死亡原因の特定を妨げた。

大学は事故の後、装置の操作に原因があったなどとする報告書をまとめた。警視庁や東京地検はその構図に沿って立件に踏み切り、人工心肺装置を担当していた被告が逮捕、起訴された。弁護人は「報告書に依拠しすぎた。時間があったのに、きちんと調べなかった。検察の読み違いによって真相が明らかにならなかった」と批判する。

国は医療版の事故調査委員会の設立に向け動いているが、東京女子医大のように医療機関が証拠隠滅を図れば設立されたとしても「絵に描いたもち」になるだろう。「医療事故の教訓を残した」とした裁判長の異例の説諭は、医療機関側に猛省を促している。(荒井六貴)


医師個人に責任を転嫁した「院内の調査委員会報告書」が本件が刑事事件化するきっかけとなったと思われます。「隠蔽体質」ですね。

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