清潔な家で育った赤ん坊ほど白血病のリスクが高まると判明! キレイにしすぎはNGだった
以下は、記事の抜粋です。
清潔で病原体の少ない環境で育った子供は、急性リンパ性白血病(ALL)という病気になるリスクが高くなるという。ALLは白血球の一種であるリンパ球が成熟する前にガン化して無制限に増殖してしまう病気で、主に6歳以下の小児に多い病気とされている。日本でも年間数百人の子どもが白血病と診断されている。
なぜALLが発症するのか?染色体異常や遺伝子の変異も一部にはあるが、原因となりうる遺伝子変異を持って生まれた子のうちALLを発症するのは1%という研究もある。
ロンドン大学ガン研究所(ICR)のメル・グリーブス(Mel Greaves)教授は、最近、一つの答えに行き着いた。それは生まれた後、どれだけの病原菌にさらされ、感染したかであった。
グリーブス氏は発症には、持って生まれた遺伝子変異と生後の病原菌への感染の2つの要素が絡んでいるという。即ち、ALLは白血病になりうる遺伝子変異を持って生まれた子どもが、一つ以上の一般的な感染症にかかった後に引き起こされるという。氏によれば、それは主に生後1年を他の子どもがいない、“きれいな”環境で過ごした子どもに起きているというのだ。
動物実験でも、ALLの原因となる遺伝子変異を持つマウスを無菌環境で育てた後、一般的な病原体にさらしたところ、ALLを発症したのだという。また、過去には保育園に通う幼児のALL発症リスクが、そうでない子どもより30%低いことも示唆されている。保育園など集団の中にいる子どもは他の子どもから病原菌をもらいやすく、免疫系が適切に刺激されているため、ALLになりにくいと考えられるのだ。
リンパ球は体内の免疫系を支える細胞であり、体内に入り込んだ病原菌やウイルスといった異物を排除する役割を担っている。以前より、幼少期の清潔さと自己免疫疾患やアレルギー発症の関連が示唆されている。「最も重要なのは、小児白血病の多くが予防可能である可能性が高いことです」と、グリーブス氏は生まれた直後から免疫系を適切に刺激することで、ALLの発症を防げると語る。
保育園に通う幼児のALL発症リスクが、そうでない子どもより30%低い
元総説のタイトルは、”A causal mechanism for childhood acute lymphoblastic leukaemia”です(総説をみる)。
なかなか説得力のある話だと思いました。一般的な病原菌に感染しておくことが、子供の健康にプラスになるというのが非常に面白いと思います。
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