逃げ場はないのか? 地域レベルのレジリエンスと地球規模の壊滅的リスクに対する脆弱性

核の冬やパンデミックなど世界規模の大惨事に対して地球上で最も安全な国はどこなのか?
以下は、記事の抜粋です。


ドイツ・ハーゲン通信大学のフロリアン・ウルリッヒ・ジェンらの研究チームは、「global catastrophic risks(GCR:世界規模の壊滅的リスク)」に対し、地球上で最も回復力がある国はどこなのかを調べました。世界規模の壊滅的リスクの定義は「数カ月~数年以内に世界人口の少なくとも10%が死亡する事態」とされており、大きく分けて以下の3つのカテゴリーがあるとのこと。

1:急激な日照量減少
超巨大火山の噴火や核戦争に続いて発生する「核の冬」、小惑星の衝突などによって日光が遮られるシナリオ。地球規模の寒冷化や降水量の変化が引き起こされることで、食糧生産量の減少や食糧貿易の混乱などが生じると予測されている。

2:世界的なインフラの壊滅的損失
高高度核爆発電磁パルスや大規模な地磁気嵐、世界規模のサイバー攻撃などによって長期間にわたる電力供給がストップするシナリオ。ほぼすべてのインフラや工業生産、農業などが電力に依存しているため、社会システムの混乱に加えて食糧生産にも悪影響を及ぼすと予測されている。

3:世界的な生物学的リスク
実験室環境からの偶発的な放出や意図的な生物兵器の使用などにより、非常に高い伝染性および致死性を持つ感染症が流行するシナリオ。直接的な死亡者が数千万~数億人に達するだけでなく、医療システムの崩壊や必須労働力の不足、農業生産や流通網の崩壊による二次的な飢饉などが生じると予測されている。

研究チームは起こり得る世界規模の壊滅的リスクによる直接的な影響に加え、国が持つ「レジリエンス(回復力)」についても検討しました。レジリエンスとは、特定の地理的・制度的・インフラ的要因に基づいて、これらの災害による深刻な混乱から立ち直り、社会が重要な機能と人々の福祉を維持する能力を意味しています。

分析の結果、世界規模の壊滅的リスクに対するレジリエンスが高い要因として、「民主主義国であること」「裕福であること」「不平等が少ないこと」「大規模な産業基盤があり政府の影響力が強いこと」「大きな島のような遠隔地にあること」「地方分権化と多様性が高いこと」「貿易への依存度が低いこと」「地理的に近い貿易相手国があること」などが特定されました。

これらの要因をすべて考慮した結果、主要な3つの世界規模の壊滅的リスクに対するレジリエンスが最も高い国は、「オーストラリア」であると結論付けられました。

ジェン博士は、「オーストラリアは島国なので外界とのつながりを絶って孤立することが容易です。膨大な量の食糧を生産しており、大規模な国内産業と鉱業部門も有しています。また、経済的に豊かで比較的安定した民主主義国家でもあります。これらはすべて、国のレジリエンスを高める要素です」と述べました。

しかし、燃料・医薬品・肥料などの供給は貿易に依存していることから、オーストラリアもすべての問題に対してレジリエンスが高いとはいえないそうです。

オーストラリアに次いでレジリエンスが高いとされる国には、ニュージーランド・日本・スイス・アルゼンチンなどが挙げられています。しかし、スイスを除く国々はすべて長い海岸線を有しており、小惑星の衝突などによって発生する大津波に対しては脆弱です。また、東南アジアや南米の火山噴火によるリスクもあるとのこと。

研究チームは世界規模の壊滅的リスクが発生する未来を見据え、オーストラリアやニュージーランドのような構造的に強い国を特定することで、これらの国々を世界的なレジリエンス向上を支える拠点として活用することを提案しています。


元論文のタイトルは、”No Place to Hide? Regional Resilience and Vulnerability to Global Catastrophic Risk(逃げ場はないのか? 地域レベルのレジリエンスと地球規模の壊滅的リスクに対する脆弱性)”です(論文をみる)。

以下は、論文の図の1つです。確かに日本もそこそこ安全な国とされています。ホンマカイナ???

コメント

タイトルとURLをコピーしました