マダニ由来の「肉アレルギー」が増加

マダニ由来の「肉アレルギー」が増加、発症の仕組みや治療法にはなお多くの謎が残る
以下は、記事の抜粋です。


マダニにかまれたことをきっかけに発症する、牛肉や豚肉などを食べるとアレルギー反応を起こす「α-galアレルギー」が世界各地で増加しています。気候変動によるマダニの生息域拡大や、マダニを運ぶシカの増加が背景にあると考えられていますが、発症の仕組みや治療法には未解明の部分が多く残されています。

α-galアレルギーは、マダニの唾液に含まれる「α-gal」と呼ばれる糖分子によって引き起こされます。マダニに繰り返しかまれると、体内でα-galに反応する免疫グロブリンE、いわゆるIgE抗体が作られ、その後にα-galを含む食品を摂取した際にアレルギー反応が起きることがあります。

α-galは牛肉や豚肉など哺乳類の肉のほか、乳製品にも含まれています。患者には発疹や腹痛、嘔吐などの症状が現れ、重症の場合は命に関わるアナフィラキシーを起こすこともあります。

このアレルギーの特徴は、マダニにかまれた直後ではなく、その後に肉などを食べた際に症状が出る点です。また、一般的なIgE型の食物アレルギーでは摂取から数分~2時間ほどで反応が起きるのに対し、α-galアレルギーでは症状が現れるまで最長8時間かかることがあります。

症状が遅れて現れる理由は完全には解明されていません。現在有力とされている説では、肉に含まれるα-galが脂質と結び付いた状態でリンパ系から血流に入り、数時間かけて小さな分子に分解された後、腸の組織に移動して免疫反応を引き起こすと考えられています。

症状が腹痛や嘔吐など比較的ありふれたもので、肉を食べてから発症まで時間が空くことから、原因を特定するのは困難です。さらに、マダニにかまれてから症状が確認されるまで数カ月かかる場合もあり、実際の患者数は診断件数より多い可能性があります。

α-galアレルギーの患者は複数の国で増えているとのこと。特にオーストラリアでは、マダニの多い一部地域で10万人当たり700人以上が発症しており、毎年22%ずつ増加しています。

アメリカ疾病対策センターによると、アメリカでは最大45万人がα-galアレルギーを持っている可能性があります。

日本では、人口の2~4%に当たる最大約490万人がα-galにさらされ、抗体を作った可能性があると報告されています。ただし、これはα-galに反応する「感作」が成立していることを示すもので、抗体を持つ人の全員にアレルギー症状が出るわけではありません。

患者増加の要因の1つとして指摘されているのが気候変動です。気温の上昇によってマダニが生息できる地域が広がっています。

また、シカの個体数増加も、マダニとの接触機会を増やしていると考えられています。

記事作成時点では、α-galアレルギーを根本的に治す方法はありません。患者には哺乳類の肉を避けることが推奨されます。


3年前にも急増していると紹介した(記事をみる)マダニ由来の「肉アレルギー」がまだ増え続けています。

マダニは、山や森の奥だけでなく、民家の裏庭、畑、あぜ道、さらには都市部の公園や河川敷などの草むらややぶに生息しています。地面から約1m前後の草や木の葉の裏で、動物や人が通るのを待ち構えています。

住宅街であっても、手入れされていない植え込み、雑草地、落ち葉の積もった場所などに潜んでいることがあります。また、大きな野生動物(シカやイノシシなど)が来なくても、庭木に止まる野鳥に付いて運ばれてくるケースがあります。さらに、散歩中の犬や、草むらを通った人の服や靴などに付いて帰宅し、庭に落ちることもあります。

肉好きのヒトは草むらに入らないようにしましょう。

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