高齢者肺炎を「治療しない」選択肢に踏み込む
以下は、記事の抜粋と図です。
今回のガイドラインで最大の特徴となるのが、HAP/NHCAPだった場合に、患者の状態が「終末期あるいは老衰」かどうかを評価する点だ。フローチャートで終末期や老衰という判断基準を盛り込むのは、今回のガイドラインが初めてとなる。
そして、「終末期あるいは老衰」と判断された場合、「個人の意思尊重、QOL優先」という考え方に基づいて治療を考えることを推奨する。さらに、終末期や老衰の状態でなくても、次は高齢者に特徴的な誤嚥性肺炎のリスクを評価することになっている。耐性菌リスクの有無、重症度判定はその後というアルゴリズムだ。原因菌や重症度評価よりも先に患者背景を考慮することを推奨する形となっている。
高齢者の誤嚥性肺炎の多くは細菌感染で、適切な抗菌薬治療によって少なくとも短期的には改善することが多いです。しかし、このガイドラインでは、「終末期あるいは老衰」による院内肺炎(Hospital Acquired Pneumonia、HAP) あるいは医療・介護関連肺炎(Nursing and Healthcare Associated Pneumonia、NHCAP)と判断されると、「個人の意思尊重、QOL優先」という選択肢をとることになります。
「寝たきりやサルコペニア(加齢による著名な筋肉減少)がある高齢肺炎患者の場合、適切な抗菌薬治療が必ずしも生命予後を改善するとは限らないから」というのが理由だそうですので、具体的には抗菌薬を投与しない、という選択肢について判断が求められることになると思います。
抗菌薬が「終末期あるいは老衰」の患者の長期的な予後を改善しないことは良くわかりますが、難しい判断になると思います。
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