腎臓が悪くないヒトはもちろん、軽度または中等度の慢性腎臓病(CKD)のヒトもタンパク質を多く摂った方が良い可能性

高齢のCKD患者、タンパク質制限は本当に必要?
以下は、記事の抜粋です。


軽度または中等度の慢性腎臓病(CKD)を有する高齢者におけるタンパク質摂取量と全死亡率を調査した結果、タンパク質摂取量が多いほど死亡リスクが低く、タンパク質摂取の利点が欠点を上回る可能性があることを、カロリンスカ研究所のAdrian Carballo-Casla氏らが明らかにした。

健康な高齢者では健康を維持するために一定のタンパク質を摂取することが推奨されているが、CKD患者ではCKDのステージ進行を抑制することを目的として、タンパク質摂取量を制限することが推奨されている。

研究グループは、60歳以上の地域在住成人で構成されたスウェーデンおよびスペインの3つのコホート研究の縦断的データを統合し、CKDステージ1~3の高齢者における総タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質の摂取量と10年全死亡率との関連性を推定し、その結果をCKDを有さない高齢者(対照群)の結果と比較した。CKDステージが4または5の参加者、腎代替療法を受けている参加者、および腎移植を受けた参加者は除外された。

主な結果は以下のとおり。

●合計1万4,399例(CKD群:4,789例、対照群:9,610例)が解析に含まれた。CKD群は女性が2,726例(56.9%)、平均年齢が78.0(SD 7.2)歳であった。追跡期間中に、両群合わせて1,468例が死亡した。
●CKD群では、総タンパク質摂取量が多いほど死亡リスクが低くなることが示された。
・1.00g/kg/日vs.0.80g/kg/日のHR 0.88(95%CI:0.79~0.98)
・1.20g/kg/日vs.0.80g/kg/日のHR 0.79(95%CI:0.66~0.95)
・1.40g/kg/日vs.0.80g/kg/日のHR 0.73(95%CI:0.57~0.92)
・1.60g/kg/日vs.0.80g/kg/日のHR 0.67(95%CI:0.51~0.89)
●CKD群の各タンパク質摂取量0.20g/kg/日増加当たりの死亡のHRは、総タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質で同等であった。
●CKD群の総タンパク質摂取量0.20g/kg/日増加当たりの死亡のHRは、75歳未満でも75歳以上でも同等であった。
●総タンパク質摂取量と死亡率との逆相関は、対照群のほうがCKD群よりも大きかった。
・CKD群のHR 0.92(95%CI:0.86~0.98)
・対照群のHR 0.85(95%CI:0.79~0.92)

これらの結果より、研究グループは「高齢者を対象としたこのマルチコホート研究では、総タンパク質、動物性タンパク質、植物性タンパク質の摂取量が多いほど、CKD患者の死亡リスクが低いことが示された。CKDを有さない人では関連性がより強く、軽度または中等度のCKDを有する高齢者ではタンパク質摂取の利点が欠点を上回る可能性があることを示唆している」とまとめた。


これまでは、以下の表のように、CKDのステージ3のヒトにはタンパク質を制限するというのが定説でした。変わるかもしれません。

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