非糖尿病の肥満成人の体重減少、チルゼパチドvs.セマグルチド

肥満者の体重減少、チルゼパチドvs.セマグルチド
以下は、論文要旨の抜粋です。


非糖尿病の肥満成人において、チルゼパチドはセマグルチドと比較して72週時の体重および胴囲の減少に関して優れていることが、Louis J. Aronne氏らによる第IIIb相無作為化非盲検並行群間比較試験「SURMOUNT-5試験」の結果で示された。

チルゼパチドおよびセマグルチドは、肥満の管理に非常に有効な薬剤である。肥満であるが2型糖尿病は有していない成人において、チルゼパチドとセマグルチドの有効性および安全性を直接比較した臨床試験はこれまでなかった。

SURMOUNT-5試験は、米国およびプエルトリコの32施設で実施された。対象は、BMI値30以上、またはBMI値27以上かつ肥満関連合併症(高血圧症、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、心血管疾患)を1つ以上有する18歳以上の成人で、糖尿病と診断されている患者、肥満に対する外科手術の既往または予定のある患者などは除外した。

適格患者をチルゼパチド(10mgまたは15mg)群またはセマグルチド(1.7mgまたは2.4mg)群に1対1の割合で無作為に割り付け、それぞれ週1回72週間皮下投与した。

主要エンドポイントは、ベースラインから72週時までの体重の変化率とした。重要な副次エンドポイントは、ベースラインから72週時までの体重減少が少なくとも10%、15%、20%および25%以上の患者の割合、および胴囲の変化量などとした。

2023年4月21日~2024年11月13日に、適格性を評価した948例のうち751例が無作為化され、そのうち750例が少なくとも1回の治験薬投与を受けた。

72週時の体重変化率の最小二乗平均値は、チルゼパチド群-20.2%、セマグルチド群-13.7%であり、体重に関してチルゼパチドのセマグルチドに対する優越性が示された(推定治療差:-6.5%、p<0.001)。

72週時の体重がベースラインから少なくとも10%、15%、20%および25%以上減少した患者の割合は、チルゼパチド群がそれぞれ81.6%、64.6%、48.4%、31.6%、セマグルチド群が60.5%、40.1%、27.3%、16.1%であった。

72週時の胴囲の変化量の最小二乗平均値は、チルゼパチド群で-18.4cm、セマグルチド群で-13.0cmであった(p<0.001)。

有害事象は、チルゼパチド群で76.7%、セマグルチド群で79.0%の患者で報告され、両群における主な有害事象は胃腸障害(悪心、便秘、下痢など)であった。重篤な有害事象はそれぞれ4.8%、3.5%に認められた。


それぞれの主な商品名は以下の通りです。

1. チルゼパチド(Tirzepatide)GIPとGLP-1の2つの受容体を同時に刺激する「デュアル受容体作動薬」です。マンジャロ(Mounjaro):2型糖尿病治療薬(週1回注射)。ゼップバウンド(Zepbound):肥満症治療薬(週1回注射)。マンジャロとゼップバウンドは、有効成分が完全に同一の薬であり、期待できる体重減少や血糖コントロールのメカニズムも同じです。唯一の違いは「日本での適応症(病名)」であり、それによって保険適用や処方される診療科が異なります。

2. セマグルチド(Semaglutide)GLP-1受容体にのみ作用する「GLP-1受容体作動薬」です。オゼンピック(Ozempic):2型糖尿病治療薬(週1回注射)。リベルサス(Rybelsus):2型糖尿病治療薬(1日1回内服・飲み薬)。ウゴービ(Wegovy):肥満症治療薬(週1回注射・高用量)。

※日本では、チルゼパチドの肥満症治療薬(ゼップバウンド)およびセマグルチドの糖尿病治療薬(オゼンピック/リベルサス) と肥満症治療薬(ウゴービ) が医療機関で広く処方されています。

今後は、注射ではなく経口投与可能な低分子化合物の開発競争になると思います。

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