ロボット支援手術、遠隔手術が現地手術に非劣性

泌尿器科ロボット支援手術、遠隔手術が現地手術に非劣性
以下は、記事の抜粋です。


泌尿器科領域のロボット支援手術(根治的前立腺全摘除術、腎部分切除術)では、遠隔手術は現地手術に対し成功率に関して非劣性であり、遠隔手術システムは1,000~2,800kmの距離で安定して稼働し、合併症や早期回復、腫瘍学的アウトカム、医療チームの作業負担などにも有意差を認めないことが示された。

研究は、2023年12月~2024年6月に、中国の5施設で実施した。北京と他の4つの地域(ウルムチ[北京とのおおよその距離2,800km]、杭州[1,300km]、ハルビン[1,250km]、合肥[1,000km])の施設の間に遠隔手術システムを構築した。

ロボット手術による根治的前立腺全摘除術および腎部分切除術を予定している患者72例を対象とした。これらの患者を、北京からの遠隔手術を受ける群(36例、年齢中央値61.0歳)または各地域で現地手術を受ける群(36例、65.0歳)に1対1の割合で無作為に割り付けた。

主要アウトカムは、手術成功率(医療チームが事前に設定した基準で判定)。手術および早期回復に関連した13の臨床的副次アウトカム、医療チームの作業負担に関連した1つの副次アウトカムなどを評価した。また、手術システムに関する4つの技術的副次アウトカム(ネットワーク通信の遅延、表示の遅延、遠隔手術中のフレームロス、システム故障)も探索的に評価した。副次アウトカムの回復と合併症について、被験者は術後4週間および6週間に追跡評価された。

遠隔手術群の32例(根治的前立腺全摘除術17例、腎部分切除術15例)および現地手術群の31例(16例、15例)が実際に手術を受け、それぞれ31例および28例が6週間の追跡調査を完了した。

手術成功率は、遠隔手術群が100%(32/32例)、現地手術群は96.77%(30/31例)であった。

いずれの集団でも、事前に規定された非劣性マージン(-0.1)を上回り、非劣性の事後確率が0.98を超えていることから、高い確率で遠隔手術の現地手術に対する非劣性が示された。

遠隔手術システムは、北京と4地域の1,000~2,800kmの距離で安定しており、ネットワークの平均往復遅延時間は20.1~47.5ミリ秒、フレーム損失は1回の遠隔手術当たり0~1.5フレームであった。その他の副次アウトカム(手術基本データ、合併症、早期回復、腫瘍学的アウトカム、医療チームの作業負担など)は、両群間で有意差を認めなかった。

著者は、「本研究は、遠隔手術分野における初の無作為化対照比較試験として、その信頼性が従来の現地手術に劣らないことを立証した」「この知見は、今後の大規模臨床試験のデザインや実施に向けた基本的なエビデンスの基盤を提供する」「中国では、質の高い医療資源が大都市に集中するため、病床待ち時間の長期化、長距離移動、地方の総医療費の増加などの問題が生じ、同時に国際社会は高齢化とがんの早期発症傾向という二重の圧力に直面している。遠隔手術は、これらの問題に対する実現可能な解決策となるだろう」としている。


元論文のタイトルは、”Reliability of urological telesurgery compared with local surgery: multicentre randomised controlled trial(泌尿器科遠隔手術と現地手術の信頼性の比較:多施設共同無作為化比較試験)”です(論文をみる)。

使用されたロボット手術機械は、中国の国産です。具体的には、中国の精鋒医療科技(Edge Medical Robotics)社が開発した「Edge SP600」という手術ロボットシステムが使用されました。

5Gネットワーク等を利用し、北京からウルムチ(約2,800km)などの超遠隔地間でも安定して動作することが確認されました。これは、ダビンチやヒノトリにはまだない大規模な臨床試験データです。

「中国では、質の高い医療資源が大都市に集中するため、病床待ち時間の長期化、長距離移動、地方の総医療費の増加などの問題が生じ、同時に国際社会は高齢化とがんの早期発症傾向という二重の圧力に直面している。遠隔手術は、これらの問題に対する実現可能な解決策となるだろう」というのは日本でも同じだと思います。大変な時代になりました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました