mRNAインフルエンザワクチンが「速い」「安い」「確実」を実現するかもしれない
以下は、論文(mRNAインフルワクチン、不活化ワクチンに対する優越性を確認)に基づく記事の抜粋です。
革新性
不活化ワクチンの鶏卵由来のタイムラグと変異を克服し、流行株に「ジャストフィット」させる可能性を示した。
臨床的意義
A型流行下において既存ワクチンに勝る有効性を実証。1シーズン限定だが、mRNAのポテンシャルを証明した。
普及の壁
不活化ワクチンより高い副反応(発熱など)の受容性。とくに「病気を防ぐためのワクチンで発熱する」ことへの心理的抵抗。
今後の焦点
重症化リスクの高い高齢者・基礎疾患保有者でのデータ。およびB型株に対する改良。
不活化ワクチンの生産は、鶏卵への接種からワクチン原液の製造まで約6ヵ月を要し、従来のインフルエンザワクチンは次シーズンに流行する株を予測して生産するという、いわば「博打」のような状況である。それに加えて卵馴化による変異を起こすという不確定要素もある。実際に、過去10年をみると2014-15シーズンは予測したワクチン株と実際の流行株でミスマッチとなり、ワクチンの効果がかなり小さかったとされている。
一方、mRNAワクチンは遺伝子配列から化学合成が可能であり、約1ヵ月程度で製造が可能とされている。流行直前まで見極めることで、精度の高いワクチン生産が可能になると推測される。理論上のmRNAワクチンの有意点に対し、実際の調査においても1シーズンのみではあるが、既存の不活化ワクチンに対する非劣性、優位性を示した意義は大きいと思われる。
今後のmRNAワクチンの普及を考えるうえでは、軽症・中等症かつ一過性ながら既存のワクチンよりも副反応が多かった点が問題になるかもしれない。最も頻度の高い全身性イベントは倦怠感と頭痛とされ、発熱(≦40.0℃)に関してはmRNAワクチン群で5.6%、対照群で1.7%と4倍ほど多かった。とくに健康な若年世代にとっては、ワクチン自体でインフルエンザのような症状が出て、日常生活に支障が出るとすればワクチンのメリットが感じにくいかもしれない。
本調査の対象は、年齢18~64歳の健康な成人であるため、実際に最も問題となる高齢者、基礎疾患を有する患者での調査結果が待たれる。インフルエンザBでは非劣性を示せていないが、B型ウイルス特有のタンパク質構造が、mRNAワクチンによる免疫誘導と相性が悪かったためと分析されており、今後の改良が期待される。
日本では、記事に書かれているように鶏卵を使った不活化ワクチンの接種しか行われていませんが、来期からは高用量の遺伝子組換えワクチンも導入される予定です。
遺伝子組換えワクチンは、ウイルス全体を卵で増やす必要がありません。インフルエンザの表面抗原の遺伝子情報を用いて、昆虫細胞や他の細胞でタンパク質を合成します。この方法では 鶏卵由来ワクチンに比べて大幅に短いリードタイムになるとされています。具体的には、約6〜8週間(1.5〜2ヶ月)程度 での生産が可能という報告があります。
今後は、mRNAワクチンと遺伝子組換えワクチンが主流になると思います。


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