乳がんサバイバーにおける子宮体がんリスクは、乳がんではない女性と比べて7.71倍高く、タモキシフェンの使用はそのリスクをさらに上げる

日本の乳がんサバイバーにおける子宮体がんリスク
以下は、記事の抜粋です。自分用のメモです。


日本の乳がんサバイバーの子宮体がんリスクは、乳がんではない女性と比べて7.71倍高いことが、筑波大学の河村 千登星氏らによる研究で示された。また内分泌療法別にみると、タモキシフェン投与患者では5.67倍、内分泌療法なしの患者で3.56倍リスクが高かった。

本研究は、2005年1月~2019年12月に登録された乳がんサバイバー2万3,729人と、年齢とデータベース登録時期で1:4でマッチさせた乳がんではない女性9万5,659人における子宮体がんリスクを、比較した。さらに、内分泌療法(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、内分泌療法なし)別のリスクを評価した。

主な結果は以下のとおり。

・乳がんサバイバー2万3,729人とマッチさせた乳がんではない女性9万5,659人(年齢中央値:49.5歳)における子宮体がん発生例数は、それぞれ56例、40例(1,000人年当たり0.73例、0.13例)であり、調整ハザード比(HR)は7.71であった。
・内分泌療法別の子宮体がんの発生例数(1,000人年当たり例数)および乳がんではない女性に対する調整HR(95%CI)は以下のとおり。
– タモキシフェン群(9,183例):26例(0.92例)、5.67
– アロマターゼ阻害薬群(4,582例):5例(0.43例)、2.17
– 内分泌療法なし群(5,763例):10例(0.61例)、3.56


元論文のタイトルは、”Risk of endometrial cancer among breast cancer survivors in Japan: a matched cohort study(日本における乳がん生存者における子宮体がんリスク:マッチングコホート研究)”です(論文をみる)。

子宮頸がんの原因としては、HPV(ヒトパピローマウイルス)と呼ばれるウイルスへの感染が関係しています。HPVは主に性交渉によって感染します。一方、子宮体がんは女性ホルモンのエストロゲンが関係しています。

乳がん、特にエストロゲンが関係する「ホルモン感受性乳がん」と子宮体がんには、共通の「エストロゲン」が深く関わっています。エストロゲンの影響を受ける期間が長いと両方の発症リスクが高まることは、既に報告されている事実ですが、日本でも同じだったという結果です。

タモキシフェンは選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)であり、乳腺組織ではエストロゲン受容体を阻害して抗腫瘍効果を発揮しますが、子宮内膜など他の組織ではエストロゲン様作用を示します。これにより、子宮内膜の細胞増殖が促進され、がん化のリスクが高まると考えられています 。

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