健康診断での腫瘍マーカー検査はやってはいけない

健康診断での腫瘍マーカー検査はやってはいけない
以下は、記事の抜粋です。


産婦人科を受診する理由で「健康診断でCA125が高いから」という人が時々います。「ネットで調べたら、卵巣がんの腫瘍マーカーと書いてありました。覚悟してきました」とか、泣きながら「遺書を書いてきました」という人もいました。しかし、この検査はほとんど何の意味もありません。害の方が大きいと言えます。一般の人の知識の無さにつけ込んだ、健康診断会社の不誠実な説明に惑わされないようにしましょう。

はじめに
健康診断のオプション項目として広く行われている腫瘍マーカー検査。しかし、がんの早期発見には適さず、デメリットの方が大きいということが知られていません。健康診断会社は儲けを増やすために、意味のあるような説明文を載せていますが、それは間違いです。ほとんどの腫瘍マーカーは早期発見には使えません

「健康診断で腫瘍マーカー高値!」の実際
1.腫瘍マーカーが高値でも、がんが無いことがほとんど。
例えば婦人科でよく使われるCA125だと、月経中、子宮内膜症、妊娠などで高くなります。CA125の基準値は35程度ですが、健康診断で引っかかった人のほとんどは60とか80程度の値で病院に来て、結果として何も見つかりません。500とか1000とかの異常高値の場合はがんの可能性は高くなりますが、健康診断から受診した人では今まで一人も見たことはないです。
私が担当した人の多くは月経中の採血でした。もし健康診断会社がしっかりと診断しようとしているのなら「月経中は検査できません」と伝えるべきなのに、何も言われていない人ばかりです。月経中で無いことを再確認して再度採血すると正常値の場合がほとんどです。また、元々子宮内膜症がある人や妊娠中も高くなります。

2.腫瘍マーカーが基準値内でも、がんが無いとは言えない
健康診断で期待されているのは、がんの早期発見でしょう。しかし、腫瘍マーカーが基準値内でも早期のがんがあることは珍しくありません。がんが進行してれば、腫瘍マーカーが高値になる可能性は高くなりますが、明らかにがんがあっても高値になるとは限らないのです。
病院では、がんを疑う腫瘍がある場合には目的とするがんに対応した腫瘍マーカーを3種類ほど選んで検査します。3つ検査するのは、一つだけだと陰性になることも多いからです。

3.腫瘍マーカー検査の本来の目的
腫瘍マーカー検査は、本来はがんを疑う腫瘍などが見つかった人に対して行う検査です。がんを疑う、もしくはがんと診断された時に、「がんの診断の補助」「診断後の経過観察」「治療効果の判定」を主な目的とする検査です。がん情報センターの資料でも明確に示されているように、「がんかどうかは、腫瘍マーカーの値だけでは診断できません」というのが事実です。

推奨される検診は何か?
厚生労働省が推奨するがん検診は以下の5つのみ

1. 胃がん検診:50歳以上(2年に1回)
2. 肺がん検診:40歳以上(1年に1回)
3. 大腸がん検診:40歳以上(1年に1回)
4. 乳がん検診:40歳以上の女性(2年に1回)
5. 子宮頸がん検診:20歳以上の女性(2年に1回)

まとめ:正しい理解と適切な選択を
腫瘍マーカー検査について、以下の点を理解することが重要

– 腫瘍マーカーは早期発見を目的とした検査ではない
– 健康診断での使用は医学的根拠に乏しく、デメリットが大きい
– 結果として不必要な検査や精神的負担を招く可能性が高い


腫瘍マーカー検査は、体内にがんが存在することで増加する「腫瘍マーカー」という特定の物質を血液や尿で測定し、がんの診断補助、治療効果の判定、再発や転移の早期発見に用いる検査です。この検査だけでがんの有無を断定することはできませんが、他の画像検査などと組み合わせて使用されることで、がんの経過観察や治療効果の判断に役立てられます。

記事の中で、「多くの医師が精密検査は不要と考えているにも関わらず、医師が検査を断れない理由とは?」というのが興味深かったです。以下がその理由ですが、その通りだと思います。

1. 患者の強い要望:「何の症状もないが、がんが心配だ」という患者を断りにくい
2. 責任問題への懸念:精査を断った後に実際にがんが見つかった場合の責任
3. 経済的要因:不要な検査とはいえ、病院には利益が生まれる
4. 患者からの感謝:検査をすれば患者から感謝される。検査を断れば不満を感じる患者が多い

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