卵は悪玉コレステロール値を上昇させるのか

卵は悪玉コレステロール値を上昇させるのか
以下は、記事の抜粋です。


卵は、コレステロール値を上昇させ、心臓病のリスクを高めると一般的に考えられている。しかし、卵に関する新たな研究で、1日に2個の卵と飽和脂肪酸の少ない食事を組み合わせて摂取した人では、悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロール(LDL-C)値が低下し、心血管疾患の発症リスクが低下する可能性のあることが示された。その一方で、飽和脂肪酸はLDL-C値を上げる傾向があることも判明した。

LDL-C値が100mg/dLを超えると心臓病のリスクがあり、160mg/dL以上になると「高リスク」とされる。LDL-Cが高くなると、動脈内にプラークが形成されやすくなり、心筋梗塞や脳卒中の原因となる。

今回の研究で南オーストラリア大学のJonathan Buckley氏らは、LDL-C値が135.35mg/dL未満の成人61人(平均年齢39±12歳)を対象にランダム化クロスオーバー試験を実施し、食事由来のコレステロールおよび飽和脂肪酸がLDL-C値に与える影響を検討した。対象者は、5週間ずつ以下の3種類の食事法を実践した。すなわち、コレステロールは多め(600mg/日、卵2個/日を含む)、飽和脂肪酸は少なめ(エネルギー比率6%)に摂取する群(卵摂取群)、卵は摂取せずコレステロールは少なめ(300mg/日)、飽和脂肪酸は多め(エネルギー比率12%)に摂取する群(卵なし群)、コレステロールも(600mg/日、卵1個/週を含む)飽和脂肪酸(エネルギー比率12%)も多めに摂取する群(対照群)である。48人が3種類の食事法の全てを完了した。各食事法の完了後に血液サンプルを採取し、それぞれの食事法がLDL-Cに与える影響を調べた。

その結果、卵摂取群では対照群と比較してLDL-C値が有意に低いことが示された(103.6±3.1mg/dL対109.3±3.1mg/dL、P=0.002)。これに対し、卵なし群(107.7±3.1mg/dL)と対照群との差は統計学的に有意ではなかった(P=0.52)。一方、全ての食事法において、飽和脂肪酸の摂取量はLDL-C値と有意に正の相関を示したのに対し、食事性コレステロールの摂取量とLDL-C値との間に有意な関連は認められなかった。

Buckley氏は、「この研究では、コレステロールと飽和脂肪酸の影響を分けて調べ、飽和脂肪酸の少ない食事の一部として卵を摂取した場合には、LDL-C値を上昇させないことを示した。LDL-C値上昇の真の原因は飽和脂肪酸なのだ。」とか「朝食の中で心臓の健康に悪影響を与える可能性が高いのは、卵ではなくベーコンやソーセージなのだ」と話している。


元論文のタイトルは、”Impact of dietary cholesterol from eggs and saturated fat on LDL cholesterol levels: a randomized cross-over study(卵由来の食事性コレステロールと飽和脂肪酸がLDLコレステロール値に与える影響:ランダム化クロスオーバー研究)”です。

Buckley氏によると、卵は、コレステロールを多く含む一方で飽和脂肪酸の含有量は少ないという点でユニークな食品だそうです。それにしても、有意差があるというには差が少なすぎるように思います(下線部をみてください)。あと、LDL-C値が135.35mg/dL未満の成人というほぼ正常のヒトだけが対象なのも気になります。

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