「ならず者国家」…Rogue States of America

米国はいまや西側の敵だ――マーティン・ウルフ
Martin Wolf氏は、英国の歴史ある経済紙のフィナンシャル・タイムズ紙の主任経済評論家です。以下は抜粋です。


バンス氏は、脅威の例として「ルーマニア政府が選挙を丸ごと無効にしたこと」を挙げた。しかし米国人も、バンス氏の上司であるドナルド・トランプ大統領自身が4年前に大統領選挙の結果を無効にしようとしたことを知っている。五十歩百歩だ。

トランプ氏はまた、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「独裁者」呼ばわりした。プーチン氏にはそんな言葉は口にしないのに、だ。この件についてトランプ氏は、選挙の審判を受けていないからそう表現したと強弁している。が、戦争の真っ最中で、しかも国土の少なからぬ部分が占領されて苦しんでいる状況でどうやって選挙を実施せよというのだろうか。

いかにもトランプらしいことに、政権は不動産取引も提案している。財務長官の原案は、これまでの軍事支援との引き換えにウクライナのレアアースおよび重要鉱物の権益の50%を要求するものだった。今後の支援の提案は一切記なかった。ほかの国を守るとするなら、その国にある貴重な資産を手に入れることがその唯一の理由になるのかもしれない。輪をかけてひどいのは、米国の要求額がこれまでに行った支援額のざっと4倍に上ることだ。

トランプ氏のホワイトハウス復帰をもって米国は、短期的な利益(特に、物質的な利益)以外のことには無関心な大国になる決断を下した。これにより、米国が支えてきた大義の数々――小国の権利や民主主義それ自体など――はどうなるか分からない状態に置かれることになる。この状態は米国内で現在起きていること、すなわちニューディールで造られた国家と合衆国憲法によって造られた法治社会がそろって破壊されかねないこととも符合する。


1994年1月に当時の大統領ビル・クリントンの演説で、国内での人権抑圧やテロリズム支援、大量破壊兵器を保有しようとする国家のことを「ならず者国家(Rogue state)」とよびました。 具体的にはイラク、イラン、北朝鮮、リビア、シリア、スーダン、キューバの7ヶ国がならず者国家認定されていました。今のアメリカほど「ならず者国家」相応しい国はないと思います。

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