悪玉コレステロール(LDL)、「減らしすぎは悪影響」は本当か?

悪玉コレステロール、「減らしすぎは悪影響」は本当か…「うつ病や認知症、がんや糖尿病などのリスク」に根拠は? 専門家に聞いた
以下は、記事の抜粋です。


現在の米国心臓協会(AHA)のガイドラインでは、健康な米国人に対してはLDLを100mg/dL以下に抑えることを推奨している。そして、心臓発作や脳卒中を経験した人々に対しては、LDLを少なくとも現在のレベルから50%減らし、理想的には70mg/dL以下に抑えることを推奨している(編注:日本動脈硬化学会のガイドラインでは疾患のリスクの大きさによって目標値が異なる)。

これらの数値を達成するには強力なスタチン療法が必要となる場合がある。新たに注射薬も登場し、LDLをより劇的に減らせるようになった。この新しい薬は「PCSK9阻害薬」と呼ばれ、肝臓がLDLを分解して排出する能力を飛躍的に高めることで、LDLコレステロール値を30mg/dL以下や20mg/dL以下という非常に低いレベルまで下げられる。

エボロクマブというPCSK9阻害薬をスタチン系薬を使っている心血管疾患の患者にこの薬を追加すると、2年後にはLDL値が59%下がり、心臓発作、脳卒中、心血管疾患による死亡のリスクが20%低下した(論文をみる)。

コレステロール値の下げすぎによる悪影響はないのか?
その一方で、何十年も前の疫学研究の結果を根拠に、コレステロール値を下げると、うつ病、不安症、記憶障害、認知症、がん、糖尿病のリスクが高くなるのではないかと心配する人々がいる。

エモリー心臓病予防センターのローレンス・スパーリング氏は、コレステロール値の低さとうつ病や不安症との関連を裏付けるしっかりとしたデータはなく、コレステロール値の低さが記憶障害や認知機能の低下を引き起こすことを示す明確な証拠もないと説明する。

それどころか、心血管の健康は全身にとって非常に重要であるため、コレステロール値の低さは「おそらく脳の健康の改善につながるでしょう」と氏は言う。

AHAは2023年に、LDLを減らすことと認知機能の障害および認知症に関連があるという説に対して、「観察研究やランダム化試験のデータは、この結論を支持しない方が優勢だ」という声明を発表している。

2023年には研究者たちが医学誌「Circulation」の論説で、新生児のLDL値が通常20~40mg/dLであることは、「成人に見られる高いLDL値が細胞過程にとって必須ではないことを示している」と述べている。また、一部の人は遺伝的にコレステロール値が低いが、そのことによる悪影響はなく、心臓も健康だという。

がんについては、スタチン系薬を服用する人々を対象とした1996年の研究で、がんの発生率がわずかに高いとされたことがあったが、2012年に学術誌「PLoS ONE」に発表された、合計17万5000人を対象とした27の大規模な試験を分析した研究では、こうした傾向は認められなかった

コレステロール値を下げるスタチン系薬は、糖尿病ではないが血糖値が高めの人や、糖尿病になりやすい遺伝子を持つ少数の人々において、糖尿病の発症リスクを高める可能性があるが、血糖値が正常な人ではこのようなことは起こらず、糖尿病予備軍の人々は心臓病のリスクが高く、スタチンをより必要としていることが多い。

スタチン系薬にも軽い副作用があり、多くの人が筋肉痛とこれらの薬を関連づけている。だが、2019年の研究では、スタチン系薬を服用しているグループとプラセボ(偽薬)グループの間で筋肉痛の発生率は同程度だった。

AHAのガイドラインによると、LDL値が190mg/dL以上の成人、または、心血管疾患や糖尿病などのリスク要因があると診断された成人は、スタチン療法を受けるべきだ。そして、特にリスクが高い人は、より強力な非スタチン系薬を追加することが必要かもしれない。

もちろん、すでにコレステロールを減らす薬を服用している人も、生活習慣を改善すべきだ。不適切な生活習慣は、薬物療法の効果を損なうおそれがある。

「高コレステロール血症ほど多くの時間と労力と資源が投じられ、多くの被験者が臨床試験に参加した疾患はほかにありません」とロイド・ジョーンズ氏は言う。「スタチン系薬もPCSK9阻害薬も、非常に安全で、信じられないほど効果的な薬だと確信できます」


コレステロールは男性ホルモンの原料であるため、コレステロールを下げると男性ホルモンも低下する可能性があります。「スタチン 男性ホルモン」でググったら、AIが以下のように返事してくれました。「ふーん」という感じです。


スタチンと男性ホルモンの関係について、次のようなことが報告されています。
●スタチンはテストステロンのレベルを低下させる可能性がある。
●スタチンは、勃起不全(ED)の開始における重要な病因因子である内皮機能障害を減らす可能性がある。
●スタチンは、EDに対する保護効果を発揮する可能性がある。

以下のような本もあります。言論は自由ですが、、、

 

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