デュアルGやトリプルG受容体作動薬は、GLP-1受容体のみに作動する薬よりも抗肥満効果が強いようです。

肥満症治療薬、減量効果が特に高いのはどれ?
以下は、記事の抜粋です。


GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬などの肥満症治療薬のうち、肥満や過体重の人の減量に最も効果的なのはどれなのだろうか?

マギル大学のMark Eisenberg氏らによると、その答えは、デュアルG(GIP〔グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド〕/GLP-1)受容体作動薬のチルゼパチド(商品名ゼップバウンド)、GLP-1受容体作動薬のセマグルチド(商品名ウゴービ)、および開発中のトリプルG(GLP1/GIP/グルカゴン)受容体作動薬のretatrutide(レタトルチド)であるようだ。これに対し、GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(商品名サクセンダ)の減量効果は、これら3種類ほど高くないことも示された。

GLP-1受容体作動薬は、食物を摂取したときに小腸から分泌されるホルモンのGLP-1の作用を模倣した薬剤で、もともと糖尿病の治療薬として開発された。GLP-1は、胃の内容物の排出を遅らせることで食後の血糖値の急上昇を抑えるとともに、中枢神経に作用して満腹感を高める効果を持つ。これにより、食物の摂取量が減り、それが体重減少につながる。デュアルGやトリプルG受容体作動薬は、GLP-1受容体に加え、GIP受容体やグルカゴン受容体などをターゲットにすることで、血糖値上昇を抑制したり満腹感を促進したりする効果を高めようとするもの。

今回マギル大学のMark Eisenberg氏らは、総計1万5,491人(女性72%、平均BMI 30〜41、平均年齢34〜57歳)を対象にした26件のランダム化比較試験(RCT)のデータを用いて、糖尿病のない肥満者に対する肥満症治療薬の有効性と安全性を検討した。

その結果、プラセボ投与と比較して、72週間のチルゼパチド(週1回15mg)投与により最大17.8%、68週間のセマグルチド(週1回2.4mg)投与により最大13.9%、48週間のretatrutide(週1回12mg)投与により最大22.1%の体重減少が確認された。また、これらの効果に比べると控え目ではあるものの、26週間のリラグルチド(1日1回3.0mg)投与によっても最大5.8%の体重減少が認められた。安全性の点では、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが一般的な副作用として報告されていたが、薬の服用を中止しなければならないほどひどい副作用はまれだった。

なお、retatrutideは、イーライリリー社により開発が進められている薬剤で、現在、臨床試験が進行中である。


チルゼパチドの日本での商品名は「マンジャロ」、セマグルチドの日本での商品名は経口薬が「リベルサス」、注射薬が「ウゴービ」です。

上の記事やこれまでの報告をみると、GLP-1受容体だけに働く薬よりも、GIP受容体やグルカゴン受容体などにも働く薬の方が抗肥満効果は強いようです。

未承認ですが、イーライリリー社のトリプルGのretatrutideが有望そうで、市販薬で減量効果が一番強いデュアルGのチルゼパチドもアメリカのイーライリリー社による開発です。

セマグルチドを開発したデンマークのノボノルディスク社も、GLP-1受容体に加えて「アミリン」というすい臓ホルモン受容体に働くカグリセマ(CagriSema)を開発していますが、昨年末に発表された臨床試験の効果は期待された穂ではなく、同社の株価が急落しました(記事をみる)。

世界のあちこちで食料が不足して栄養不良の子供がいる一方で、こんな薬が売れるというのは、、、

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