理研:研究者が論文自主点検 3000人、2万本以上に
以下は、記事の抜粋です。
「STAP細胞」論文に不正があったとされる問題で揺れる理化学研究所で、約3000人いる研究者自身が過去約10年に書いた全論文について自主点検を始めたことが分かった。野依理事長の指示で、対象の論文数は2万本以上になるとみられる。
理研広報室によると、理事長の指示は4月25日、電子メールで出された。STAP細胞論文の調査委員長だった石井研究員が自身の論文に疑義を指摘されたのを受けて委員長を辞任したのが端緒になり、初めてこうした対応を取ったという。理研は年平均2500本程度もの論文を出しているだけに、点検の期限は求めていない。
理研は2005年、研究不正が発覚した場合の手続きなどを定めた「基本的対応方針」を策定した。それ以降に発表した論文についてチェックをし、ミスや不正行為によって訂正や撤回が必要な場合は直ちに出版元に連絡するとともに、理研の監査・コンプライアンス室に報告するよう求めている。
理研は研究不正を(1)捏造(2)改ざん(3)盗用--と定義。内部調査でいずれかに認定されれば研究者は懲戒解雇などの処分を受けるが「悪意のない間違いや意見の相違は不正に含まない」と規定している。
理研が「公正な方法で選んだ」と言っていた小保方ユニットリーダーを、「未熟な研究者」と切り捨てた野依理事長の行動は、どう考えても理研の組織防衛には役立たないと思っていたのですが、今回の「自主点検」という彼の思いつきも、研究不正騒ぎの火に油を注ぐ結果になるような気がします。
なにか不正が起きた場合に、不正をした者が一人だけだったことを社会に示すために、このような組織による自己点検は良く行われます。調査を受けた全員が「違反はしていません」と答え、当該組織が「違反者は問題になった者以外は誰もいませんでした」と社会に公表すれば、たとえウソでも「ミソギ」は終わったことにできます。しかし、これは組織の外からアクセスできない違反や不正に限られます。
しかし、石井委員長や他の委員の場合で明らかになったように、今回の「不正」は外部からもチェックできます、おそらく今回の新聞報道で「論文不正シーカーズ」はやる気を刺激されたことでしょう。
あと、理研が使っている「悪意」の定義がよくわかりません。ほとんどの捏造や改ざんや盗用は「悪意のないちょっとした出来心」で行われているのでは?
コメント
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やっていないことを「やった」と言い張ったり(“fabrication”)することは「悪意」と申しますか、「職業倫理上、罪が重い」と言えるのではないでしょうか。実験・観測記録からトレースできるか確認してもらえば、冤罪は晴れます。
一方、見やすいように複数画像を切り貼り(“alteration”)するのは、「出来心」でやる人が出そうですが、それをやってしまうと、画像によって「こうした現象が同時に起きたことを示す証拠写真」を提示したことにはならないことに思い至らなかっただけかも知れません。「写真は、起きた現象を模式的に示すための合成、はめ込みイメージです」と脚注に入れてあれば、読者をミスリードしなくて良かったでしょうか?
ともあれ、理事長の思うようには「ミソギ」が出来るとは考えられないのは、仰るとおりです。組織内の不正防止には、「内部告発奨励賞」でも設置したほうが良いでしょう。
組織に問題がある大学や研究機関に子どもたちが修行に行って、人生にダメージを受けるのは予防したいので、いろいろ考えてしまいます。
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本日理研から発表された
『不服申立てに関する審査の結果の報告』
によれば,理研は「悪意」を法律用語としての「基礎事実を知っている」という意味で使っております。
http://www3.riken.jp/stap/j/t10document12.pdf
1ページ目で
『、「悪意」とは、客観的、外形的に研究不正とされる捏造、改ざん又は盗用の
類型に該当する事実に対する認識をいうもの』と定義付けています。
この緩い定義だと,理研の他の研究者ばかりでなく
国内の全ての研究者の中から次々と「研究不正」認定される人が出てきてしまいますね。