カフェインで記憶力が向上、米研究
以下は、記事の抜粋です。
カフェインを摂取すると、記憶力が高まることが分かったとの研究論文が1月12日、Nature Neuroscience誌に掲載された。
Michael Yassa氏率いるJohns Hopkins大学の研究チームは、従来とは異なるアプローチを試み、ある種の記憶が形成されてから少なくとも1日間にわたりカフェインによって強化されることを明らかにした。。
研究チームはまず、被験者73人に、植物、かご、サックス、タツノオトシゴなどの多数の物の画像を見せた。その後、被験者を半数ずつのグループに分け、一方のグループには、濃いエスプレッソコーヒー約2杯分に相当する200ミリグラムのカフェインを、もう一方のグループには、プラセボを与えた。カフェインのレベルを測定するために、1時間後、3時間後、24時間後にそれぞれ唾液サンプルを採取した。
翌日に両グループにもう一度、一連の画像を見せた。画像には、前日と同じものの他、全く新しいものや、かごの取っ手が2つから1つに変わっているなどの、微妙に異なる画像も含まれていた。
その結果、前にあった画像と無かった画像との区別については、どちらのグループも正確度は高かった。だが、一連の画像の中から「よく似た」画像を特定する場合については、カフェインを摂取したグループの方がかなり正確度は高かった。
Yassa氏は「これらの良く似た画像の使用は、海馬と呼ばれる脳の部位を必要とする『パターン分離』と呼ばれる区別を行うことを脳に要求する。今回の実験でカフェインによって促進されたプロセスは、このパターン分離と思われる」と述べている。
元論文のタイトルは、”Post-study caffeine administration enhances memory consolidation in humans”です(論文をみる)。
もう少し詳しい実験を紹介すると、被験者は画像を見せられ、屋外で使う品か屋内のものかを聞かれます。それに答えた少し後に、200mgのカフェインあるいはプラセボを服用します。翌日被験者は、前日の画像のいくつかと新しい画像や前日の画像とよく似た新しい画像とを混ぜてランダムに見せられます。そして、見た画像を「古い」「新しい」「元の画像と似て非なるもの」の3種類に分類することが課題です。
カフェイン群もプラセボ群も「新しい」か「古い」かは特定できましたが、カフェイン群は「似て非なる」画像を元の画像と区別する正確さが優れていました。このような記憶動作の改善は、カフェインの少量摂取や翌日摂取では認められませんでした。
記憶のconsolidation(定着、固定)には効果があるがretrieval(想起)には効果がないということです。
カフェインを含む飲料を飲んだ後に、内田クレペリン検査などで調べた計算能力が有意に高くなることは良く知られています。しかし、学習した後に飲んでも効果があるというのは、今回の論文ではじめて知りました。
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