iPS細胞:作製で染色体異常が修復

iPS細胞:作製で染色体異常を修復 移植治療応用に期待
以下は、記事の抜粋です。


米グラッドストーン研究所などの研究グループは1月12日、染色体異常の一種「リング染色体」を持つ患者からiPS細胞を作製したところ、染色体異常が自己修復されることを発見したと発表した。13日付の「ネイチャー」オンライン版に掲載される。

リング染色体は、一対の染色体のうち1本が環状になるなどの異常で、さまざまな発育不良やがんと関係があることが知られている。

研究グループによると、3人の患者から取り出したリング染色体を含む細胞から15株のiPS細胞を作製すると、10株で環状になっている方の染色体が消え、正常な2本の染色体を持つ細胞になることを発見した。

染色体を解析したところ、正常な1本が増幅して2本になっていることが判明した。通常は父と母から1本ずつもらう染色体が、片方の親から2本もらった状態(片親性)で、機能異常のリスクは残るという。グラッドストーン研究所の林研究員は「iPS細胞作製の過程で染色体が自己修復されるという発見は画期的。今後、このiPS細胞を特定の臓器などへ分化誘導し、安全性を確認したい」としている。


元論文のタイトルは、”Cell-autonomous correction of ring chromosomes in human induced pluripotent stem cells”です(論文をみる)。

リング状をしているという染色体の構造異常がiPS細胞を作ると正常化することがある、という論文です。点突然変異や欠失変異が正常化するわけではないので、この結果が他の多くの遺伝病に応用できるということではないと思います。

また、本研究結果はこの病気の患者さんの治療には応用できる可能性はあると思いますが、広く他の移植治療に応用できるわけでもないので、この新聞記事のタイトルはオーバーです。また、朝日新聞の「染色体異常が自己修復 iPS細胞で山中教授ら新発見」というのも、どんな染色体異常でもiPS化すれば正常になるわけでもないので、これもオーバーです(記事をみる)。山中教授も苦笑?

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