片頭痛治療薬の選択肢が増えています

米ファイザー、片頭痛治療の点鼻スプレーをFDAが承認
以下は、記事の抜粋です。


米食品医薬品局(FDA)は3月10日、ファイザーの片頭痛治療の点鼻スプレー「ZAVZPRET」について、後期臨床試験のデータを基に承認した。片頭痛に悩む患者にとって効き目の早い鎮痛剤の選択肢の1つとなる可能性がある。

ファイザーは昨年、買収を通じて、FDAが承認済みの片頭痛経口薬「ナーテックODT」を入手した。ファイザーは片頭痛治療薬群全体のピーク時の売上高を約60億ドルと見込んでいる。

ZAVZPRETはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の作用を阻害する治療薬。ファイザーは、同薬の発売は7月の予定で、価格は同じグラスに属するFDA承認済みの治療薬と同等になると明らかにした。同薬は、アッヴィ、イーライリリー、アムジェン、テバ・ファーマシューティカル各社のCGRP受容体拮抗薬と競合する。

ZAVZPRETは、ほかのCGRP受容体拮抗薬と比べて、心血管リスク因子を持つ人にとって安全であり、薬物乱用による頭痛を引き起こさない、点鼻スプレーであることも経口薬を飲み込めない患者にとって便利などの特徴がある。


ファイザーのサイトによると、ZAVZPRET は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体アンタゴニストであり、成人の前兆の有無にかかわらず片頭痛の急性治療に適応され、片頭痛の予防治療には適応されていないそうです。

片頭痛は、日本人の約8~10%(約1000万人)に認められ、女性に多く(男:女=1:4)、ズッキンズッキンという拍動性の頭痛が特徴です。頻度は月1~2回から週1~2回です。ギザギザした光が見えたり、視野が半分見えにくくなるなどの前兆を伴う場合もあります。吐き気、嘔吐、光や音が気になるなどの症状を伴う場合もあります。寝込んで仕事ができない場合もあります。

片頭痛の発生メカニズムには、複数の神経伝達物質の関係が指摘されており、セロトニン、ドーパミン、GABA、CGRP、サブスタンスP、NOなどがあげられます。

発作時の第一選択薬は、トリプタン製剤です。トリプタン製剤はセロトニン1B受容体に作用し、拡張した血管を収縮させます。さらに、セロトニン1D受容体に作用し、血管拡張性の神経ペプチド(サブスタンスP,CGRP)の放出を抑制し、痛みを軽減するとされています。日本で使用可能なトリプタン製剤は、スマトリプタン(イミグランⓇ)、ゾルミトリプタン(ゾーミックⓇ)、エレトリプタン(レルパックスⓇ)、リザトリプタン(マクサルトⓇ)、ナラトリプタン(アマージⓇ)などです。

他には、NSAID、アセトアミノフェンなどの鎮痛剤やエルゴタミン製剤(セロトニン受容体と結合し血管収縮)があります。

多くの片頭痛はNSAIDsやアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬でコントロールできますが、難治性の片頭痛に悩んでいるヒトも多いので、トリプタン製剤やCGRP拮抗薬はこれから需要が伸びると思います。

 

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