ウナギにも蛍光たんぱく=遺伝子特定、「UnaG」と命名-理研
以下は、記事の抜粋です。
ニホンウナギの筋肉に含まれる緑色蛍光たんぱく質の遺伝子を特定し、青い光を当てると光る仕組みを解明したと、理研の宮脇チームリーダーや熊谷研究員らが6月13日付のセル誌電子版に発表した。
このたんぱく質はウナギとグリーンの頭文字から、「UnaG(ユーナジー)」と命名された。血液の赤血球が崩壊して生じる黄色い物質ビリルビンと結合すると、青色照明で瞬時に緑色に光る。
ビリルビンは黄疸の原因となる物質。溶血や肝機能の低下で濃度が高まるため、健康診断の検査項目になっている。宮脇さんらは遺伝子を大腸菌に導入してUnaGを人為的に作り、ビリルビン量を測定する試薬を開発した。
従来の検査法より速く、大幅に感度が高い上、凍結乾燥しても使える。特に赤ちゃんの黄疸がひどくならないか、簡単に検査できる長所がある。
下村脩博士がオワンクラゲから発見し、ノーベル化学賞を受賞した緑色蛍光たんぱく質と異なり、UnaGは酸素がなくても光る。このためがん細胞を検出したり、がん組織内部を調べたりするのにも使えるという。
元論文のタイトルは、”A Bilirubin-Inducible Fluorescent Protein from Eel Muscle”です(論文をみる)。
UnaGは構造的には fatty-acid-binding protein (FABP) familyというタンパク質ファミリーに属し、ビリルビンの非共有結合によって蛍光が誘導されるので、臨床におけるヒトビリルビンの測定に応用できるとのことです。
また、これまでのGFPなどの蛍光タンパク質はすべて非脊椎動物由来だったのに対して、UnaGは脊椎動物から得られた最初の蛍光タンパク質だそうです。基礎研究での展開はもちろん、臨床への応用が楽しみです。
コメント
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がん細胞の検出や、細胞の内部を調べるには、UnaGをどのように使うのですか?
どういう仕組みで検出できるのか、と言う方がいいでしょうか・・・
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>やすさん
ご質問ありがとうございました。
http://www.riken.go.jp/pr/press/2013/20130614_1/
にある程度詳しく書かれています。個人的意見ですが、UnaGそのままではビリルビンセンサーとしての利用価値しかないと思います。
記事の記載ですが、アミノ酸置換などでビリルビンがなくても光るように改良すれば、無酸素環境で光る特性を生かして、酸素の入りにくい固形がんでも使えるだろうという見通しが書かれているのだと推測いたします。逆に、GFPでも固形がん組織内という特殊な状況以外であれば、がん組織内の現象の可視化に使えると思います。
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>takさん
ご説明どうもありがとうございました。