「無期転換ルール」を利用した意図的な雇い止めが日本の科学を滅ぼす

大学・研究機関で相次ぐ雇い止め、無期転換ルールのあり方が問われている
こんな事をしていたら日本の科学は終わります。以下は、記事の抜粋です。


有期雇用から無期雇用への転換を申し込める「無期転換ルール」を避ける目的で、大学や研究機関で実質的な雇い止めの事例が相次いでいる。無期契約への転換前に、非正規職員らが2023年3月末で労働契約を打ち切られるケースがそれだ。

理化学研究所に勤務している50代の研究者。通算で10年間理研に勤務し、現在はプロジェクトリーダーとして研究に取り組んできた。7月28日に厚労省で記者会見を開き、22年度限りで雇用契約の解除を通知されたことを明かした。こうした例は理研だけでなく、九州大学などでも確認されている。無期転換の権利を得る有期雇用の研究者や職員は、全国の国立大学や研究機関で約3700人に達する。この一部もしくは多くが雇い止めされる可能性がある。

無期転換ルールの適用がその背景にある。改正労働契約法が13年4月に施行され、有期契約雇用が通算5年を超えた労働者は、無期転換を求めることが可能になった。雇用を安定化するのが狙いで、事業主は正当な理由なしに断ることはできない。

大学や研究機関で働く職員は特例で「10年ルール」が適用される。プロジェクトが長期化するケースが多く、研究の継続性を考慮した上での判断だ。13年4月を基準として、その前から働いていた人は23年4月に無期転換を求める権利を得ることになる。ただ理研の研究者のように、無期雇用への変更申請が可能なタイミングの直前に雇い止めされる事例が相次ぐ懸念がある。

厚労省は「無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で雇い止めをすることは労働契約法の趣旨に照らして望ましくない」と指摘。同省の労働政策審議会の専門部会でも無期転換ルールの見直しについて審議中だ。


「無期転換ルール」とは、下図のように有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールです。

本来は、5年以上務めたらクビにならないという働くヒトを守るはずのルールが、5年雇ってクビにできるという雇う側に都合の良いルールになっています。大学などでの非常勤事務職員の大半は、このルールのおかげで5年で辞めています。ほとんどが意図的な雇い止めです。

大学や研究機関で働く職員は特例で「10年ルール」が適用されるとありますが、10年間研究してクビになったら、再就職は「5年ルール」よりもはるかに厳しいです。研究者としての人生を諦めることになります。

上の記事では「この一部もしくは多くが雇い止めされる可能性がある。」といい加減な書き方がされていますが、その割合に関わらず、このルールを利用した意図的な雇い止めが存在する限り、博士課程進学やポスドク希望者が減り、日本の科学研究レベルはどんどん落ちて行きます。

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