遺伝子組換えトウモロコシ…発がん性に関連?

GMトウモロコシと発がん性に関連、マウス実験 仏政府が調査要請
以下は、記事の抜粋です。


フランス政府は9月19日、遺伝子組換え(GM)トウモロコシと発がんの関連性がマウス実験で示されたとして、保健衛生当局に調査を要請した。EU圏内での遺伝子組換えトウモロコシ取引が一時的に停止される可能性も出ている。

農業、エコロジー、保健の各担当大臣らは、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)に対して、マウス実験で示された結果について調査するよう要請したと発表した。3大臣は共同声明で「ANSESの見解によっては該当するトウモロコシの欧州への輸入の緊急停止をも含め、人間および動物の健康を守るために必要なあらゆる措置をとるよう、仏政府からEU当局に要請する」と述べた。

仏Caen大学の研究チームが行ったマウス実験の結果、問題があると指摘されたのは米モンサント製の遺伝子組換えトウモロコシ「NK603」系統。同社の除草剤「ラウンドアップ」に対する耐性を持たせるために遺伝子が操作されている。

仏専門誌「Food and Chemical Toxicology」で発表された論文によると、マウス200匹を用いて行われた実験で、トウモロコシ「NK603」を食べる、もしくは除草剤「ラウンドアップ」と接触したマウスのグループに腫瘍を確認した。2年間にわたって行われた実験は今回がはじめてという。

がんの発生はメスに多く確認された。開始から14か月目、対照群では確認されなかったがんの発生が、一方の実験群のメスのマウスでは10~30%で確認された。さらに24か月目では、対照群でのがん発生率は30%にとどまっていたのに対し、実験群のメスでは50~80%と高い発生率となった。また実験群のメスでは早死も多かった。

一方オスでは、肝臓や皮膚に腫瘍が発生し、また消化管での異常もみられた。研究を率いた同大のGilles-Eric Seralini氏は「GM作物と除草剤による健康への長期的な影響が初めて、しかも政府や業界の調査よりも徹底的に調査された。この結果は警戒すべきものだ」と述べている。

欧州食品安全機関(EFSA)所属のGM作物に関する委員会は2009年、90日間のマウス実験に基づき、「NK603」は「従来のトウモロコシと同様に安全」との判断を下した。現在、欧州への輸出は可能となっているが、域内での栽培は禁止されている。


元論文のタイトルは、”Long term toxicity of a Roundup herbicide and a Roundup-tolerant genetically modified maize”です(論文をみる)。

論文の要約に、”These results can be explained by the non linear endocrine-disrupting effects of Roundup, but also by the overexpression of the transgene in the GMO and its metabolic consequences.”と書かれているので、実験で観察された「ホルモンと性依存的な発がん」の原因はラウンドアップ®(農薬)自身と農薬耐性遺伝子の過剰発現のどちらかで説明されると思います。

ラウンドアップの有効成分は、グリホサートという化合物で5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素を阻害します。その結果、トリプトファンなどのアミノ酸合成が障害されるため、ほとんどの植物がダメージを受けるそうです。

導入遺伝子としては、ラウンドアップに非感受性のバクテリア由来のEPSPS遺伝子とラウンドアップ分解・解毒酵素の遺伝子が用いられているようです。遺伝子も酵素も経口投与した場合は、消化されてしまうので、低分子のラウンドアップそのものの影響が出ているのではないかと思います。
些細なことですが、記事の「マウス」は「ラット」の誤りです。以下の記事をみると、EFSAは発がん性の指摘を認めなかったようです。
発がん性の指摘認めず=輸入承認の遺伝子組み換えコーン-EU
以下は、記事の抜粋です。


EUの欧州食品安全機関(EFSA)は10月4日、ラット実験で遺伝子組換えトウモロコシの発がん性を指摘したフランスの研究報告について、科学的に不十分なものだとの見解を表明した。


遺伝子組換えトウモロコシの発がんを問題にするのであれば、ラウンドアップ自身の効果を除外した実験を行う必要があると思います。

コメント

  1. Black_Fox より:

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    読者として読ませて頂いております。
    それにしても、始めに除草ありき、の発想はどうかと思う。やはりモンサントは農家では無く、ただのケミカル企業のようですね。
    モンサントにとっては、只の高分子材料なのかもしれませんが、元々植物には、その植物なりの強い生命力があり、うかつに手を出すと人に毒となって襲います。
    自然とは何か?を勉強する意味を、はき違えた技術者たちのようにも思えます。
    長文、失礼しました。

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