医療従事者への4回目接種、その効果は?

医療従事者への4回目接種、その効果は?
4回目の接種について、私は該当しませんが、健康な若い医療従事者への4回目のワクチン接種は、わずかな利益しか得られない可能性があるという論文です。


イスラエルの医療従事者を対象に、3回目接種から4ヵ月後にファイザー製およびモデルナ製の新型コロナワクチンを投与した結果、中和抗体価は投与前の9~10倍に増加した。一方で3回目接種後のピーク反応との比較から、著者らはmRNAワクチンの免疫原性は3回の接種で最大となる可能性が示唆されたとしている。

適格な医療従事者1,250人のうち、154人が3回目接種から4ヵ月後にBNT162b2(ファイザー製)の4回目の投与を受け、その1週間後に120人がmRNA-1273(モデルナ製)を投与された。それぞれの参加者について、残りの参加者の中から年齢をマッチさせた2人の対照者が選定された。

研究期間はBNT162b2投与群が2021年12月27日~2022年1月30日、mRNA-1273投与群が2022年1月5日~2022年1月30日。同期間は感染率が極めて高く、毎週PCR検査による綿密なアクティブサーベイランスが行われていたため、ワクチンの有効性も評価された。期間中分離された株の100%がオミクロン株であった

主な結果は以下のとおり。

・4回目接種後、どちらのmRNAワクチンもSARS-CoV-2受容体結合ドメインに対するIgG抗体を誘導し、中和抗体価が上昇した。
・各測定値は9~10倍に増加し、3回目の投与後に達成された抗体価よりもわずかに高くなり、2つのワクチン間に有意差はなかった。
・両ワクチンとも、オミクロン株およびその他のウイルス株(デルタ株、野生株)に対する中和能が約10倍に増加し、3回目の投与後の反応と同様であった。
・4回目接種後、多くの接種者で軽度の全身および局所症状が報告されたものの、実質的な有害事象の報告はなかった。
試験期間中、対照群では25.0%がオミクロン株に感染していたのに対し、BNT162b2群では18.3%、mRNA-1273群では20.7%だった
・SARS-CoV-2感染に対するワクチン有効性は、BNT162b2では30%、mRNA-1273では11%だった。
・感染した医療従事者の多くは、対照群、介入群ともに、ごく軽度の症状を訴えた。しかし多くは、比較的高いウイルス量(Ct値≤25)を有していた
・また、ワクチンの効果は発症予防効果のほうがより高いと推定された(BNT162b2群で43%、mRNA-1273群で31%)

これらの結果から、mRNAワクチンの免疫原性は3回の接種で最大になり、4回目の接種で抗体レベルが回復する可能性が示唆されたとし、医療従事者の感染に対するワクチン有効性は低く、ウイルス量が比較的多いことから、感染者が感染能を有することがわかった。高齢者や脆弱な集団に対する評価は行われていないが、健康な若い医療従事者への4回目のワクチン接種は、わずかな利益しか得られない可能性があるとしている。


4回目の接種を受けたヒトでは、中和抗体レベルは上がるものの感染はあまり防がず、ワクチン量が多く、発症予防効果が高いということは、無症状ながら周囲にウイルスを撒き散らす可能性が高くなるのではと思いました。手詰まり感があります。今のワクチンは野生型のウイルスに対して作られているはずなので、ファイザーやモデルナが既に用意していると言っていたオミクロン株に特化したワクチンではどうなのかなと考えました。

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