降圧薬の中でCa拮抗薬のみ男性の夜間頻尿と有意に関連
以下は、記事の抜粋です。
降圧薬として多くの患者に使われているカルシウム(Ca)拮抗薬が、男性の夜間頻尿に関連しているとするデータが報告された。自治医大の鷲野聡氏らの研究によるもの。
睡眠中に尿意で目覚めてしまう夜間頻尿は、生活の質(QOL)を低下させ、時に抑うつを来すこともある。夜間頻尿の発症には複数の原因が関与しており、高血圧や降圧薬の服用も一因である可能性が、先行研究から示唆されている。ただし、その関連の詳細は不明。鷲野氏らは、高血圧または降圧薬の服用と夜間頻尿との関連を明らかにするために、同センターの患者データを用いて横断的研究を実施した。
2018年1月~2019年12月の泌尿器科入院患者の40歳以上の男性から、418人(平均年齢69.4±7.6歳)を解析対象とした。夜間頻尿の有無は、排尿のために目覚める回数で判定。2回以上の場合を「臨床的に重要な夜間頻尿」と定義した。主要評価項目は、降圧薬の使用、または血圧高値(日中の血圧が140/90mmHg以上)が夜間頻尿と関連しているか否かであり、副次評価項目として、降圧薬のタイプとの関連を検討した。
全体の57%に当たる240人が降圧薬を服用していた。降圧薬のタイプは、Ca拮抗薬71%(降圧薬服用者に占める割合)、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)59%、アンジオテンシン変換酵素阻害薬13%、β遮断薬13%、α遮断薬13%、サイアザイド系利尿薬8%。単剤処方が107人、2剤併用が94人で、39人は3剤が併用されていた。
降圧薬服用の有無で比較すると、降圧薬服用群で夜間の排尿回数が有意に多いことが分かった(降圧薬服用群1.75±1.12回、非服用群1.35±1.08回、P=0.0003)。次に、副次評価項目である降圧薬のタイプ別に関連を解析。すると、Ca拮抗薬を服用している患者でのみ、夜間排尿回数の有意な増加が認められた。具体的には、降圧薬非服用群の1.35±1.08回に対してCa拮抗薬以外の降圧薬服用群は1.48±0.98回(P=0.91)で有意差はなく、一方で、Ca拮抗薬単剤服用群は1.77±1.07(P=0.014)、Ca拮抗薬を含む併用療法群は1.90±1.19回(P<0.0001)であり、いずれも夜間排尿回数が有意に多かった。また、年齢層別の解析から、比較的若年(40~65歳)の患者で、Ca拮抗薬による夜間排尿回数増加への影響が強いことが分かった。
私の友人にも高血圧で治療されていて夜間頻尿を訴える男性がいました。今度会う機会があればCa拮抗薬を服薬しているかどうか聞いてみます。
元論文のタイトルは、”Calcium Channel Blockers Are Associated with Nocturia in Men Aged 40 Years or Older”です(論文をみる)。
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