プロペシア®(一般名:フィナステリドの使用、45歳以下では自殺傾向・うつとの関連が顕著

フィナステリドの使用、45歳以下では自殺傾向・うつとの関連が顕著
以下は、記事の抜粋です。


インターネットやテレビで男性型脱毛症(AGA)治療の広告を目にしない日はないだろう。脱毛症および良性前立腺肥大症(BPH)治療に使用されるフィナステリドについて、自殺傾向やうつ増大との関連が認められることが、ブリガム&ウィメンズ病院のDavid-Dan Nguyen氏らにより報告された。

フィナステリド使用男性の自殺企図または自殺例が報告されるようになったのは2012年ごろであったが、今回の検討では、45歳以下の脱毛症患者において、自殺傾向や心理的有害事象との顕著な関連性が認められた。著者は、「今回の研究結果は、若年の患者にフィナステリドを処方する際は、自殺傾向、うつ、不安症のリスクを考慮する必要があることを示唆するものであった」と述べる一方で、「本研究によってバイアスがかかる可能性があり、さらなる調査が必要である」とまとめている。

研究グループは、自殺傾向(念慮、企図、既遂)および心理的有害事象(うつ、不安症)とフィナステリド使用との関連を調べる薬物誘発ケース・非ケース研究を実施した。不均衡分析にて、世界保健機関(WHO)のVigiBase(個別ケースの安全性レポートの世界的なデータベース)で、フィナステリドについて報告された注目される副作用の警告を検出し、検討した。

関連性の強度は報告オッズ比(ROR)を用いて調べ、拡大感度分析では、適応症(BPHおよび脱毛症)、年齢(45歳以下および45歳超)で層別化したうえで、フィナステリドと同様の適応症に使用される、機序が異なる薬剤(脱毛症:ミノキシジル、BPH:タムスロシン塩酸塩)の比較、フィナステリドと同一作用機序および有害事象プロファイルを有する薬剤(デュタステリド)の比較、および2012年前後の自殺傾向の報告を比較した。

主な結果は以下のとおり。

・フィナステリド使用者における自殺傾向(ROR:1.63、95%信頼区間[CI]:1.47~1.81)および心理的有害事象(ROR:4.33、95%CI:4.17~4.49)の有意な不均衡シグナルが特定された。
・感度解析で、若年患者(ROR:3.47、95%CI:2.90~4.15)および脱毛症患者(ROR:2.06、95%CI:1.81~2.34)は、自殺傾向の増加に対して有意な不均衡シグナルを示した。こうしたシグナルは、BPHの高齢患者では検出されなかった。
・感度解析で、これらの有害事象の報告が2012年以降に大幅に増加したことも示された(ROR:2.13、95%CI:1.91~2.39)。


元論文のタイトルは、”Investigation of Suicidality and Psychological Adverse Events in Patients Treated With Finasteride”です(論文をみる)。

フィナステリドは日本ではプロペシア®という商品名で売られています。男性ホルモンの一種、テストステロンをジヒドロテストロンに変換する酵素(5αリダクターゼII型)を阻害することで、ジヒドロテストステロンが毛母細胞の働きを低下させる作用を抑えて男性型脱毛症(AGA)を治療する薬物です。現在では最もスタンダードなAGA治療薬です。

AGA治療には、保険が適用されません。そのためか、AGA治療専門の「AGAクリニック」があります。以下は、その広告にあるフェナステリドの副作用について書かれた全文です。


フィナステリドの副作用には性欲減退や勃起機能障害(ED)などの男性機能低下、肝機能障害などが挙げられます。しかしEDなどの副作用に関しては臨床試験においてプラセボ患者とほぼ同様の発生率となっており、危険性は低いといわれています。ただし、この試験はあくまでも発症率が低いということを示唆するものであり、副作用が現れる可能性はゼロではありません。服用後に異常を感じた場合は、医師にご相談ください(サイトをみる)。


今後は、AGAに悩む患者にフィナステリドプロペシア®を処方する際は、自殺傾向、うつ、不安症のリスクを考慮する必要があると思います。

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