Rho キナーゼ阻害作用を有する新規緑内障治療薬『開発コード K-115』

Rho キナーゼ阻害作用を有する新規緑内障治療薬『開発コード K-115』の緑内障患者における眼圧下降効果及び安全性の結果を発表

以下は、プレスリリースの抜粋です。


興和株式会社は、2011 年 5月米国”ARVO 2011″のポスターセッションにおいて、緑内障・高眼圧症治療薬「開発コード K-115」の第Ⅱ相臨床薬理試験、第Ⅱ相用量反応試験および非臨床試験の結果を発表した。K-115 はこれまでの緑内障治療薬とは異なり、房水の主流出経路に作用し眼圧下降させる。

Rho キナーゼ阻害作用:Rho キナーゼ阻害作用を有するK-115は、線維柱帯に直接作用し、房水の主な流出経路である線維柱帯-シュレム管からの房水流出を促進することにより眼圧を下降させる。また、K-115はその作用機序の違いにより、単独での使用に加え、ぶどう膜・強膜流出路からの房水流出を促進させるプロスタグランジン関連薬や、房水の産生を抑制するβ遮断薬等の緑内障治療薬との併用効果が期待される。以下は、発表されたポスターの要約です。

●(ポスター番号:A512):原発開放隅角緑内障・高眼圧症の患者28名を対象に、K-115(0.2%、0.4%およびプラセボ)を1日2回1日間点眼したときの24時間の眼圧推移を確認した。

●(ポスター番号:A516):原発開放隅角緑内障・高眼圧症の患者210名を対象に、K-115(0.1%、0.2%、0.4%またはプラセボ)を1日2回8週間点眼したときの、眼圧下降効果の用量反応性および安全性を検討した。

●(ポスター番号:A533):サルにおいて K-115 をラタノプロスト(プロスタグランジン関連薬)と併用したときの眼圧下降効果を検討し、相加的な眼圧下降効果を確認した。またウサギにおいて、K-115 の房水産生・流出に対する影響および K-115 の眼内分布を確認し、さらに、サルとウサギの眼組織における Rho キナーゼの発現を確認した。


キーワード”K-115″でHighWireをサーチしたところ、一番古いものは2007年の発表でした(要約をみる)。これによるとK-115によるRhoキナーゼの50%抑制濃度(IC50)は0.031µMで、以前に関連記事論文として紹介したY-27632の0.23µMと比べて8倍強力ということです。

「興和はこれらの第Ⅱ相試験の結果に基づいて、第Ⅲ相試験へ移行し、新規作用機序である Rho キナーゼ阻害作用を有する、世界初の緑内障・高眼圧症治療薬として承認を得ることを目標に開発を進めてまいります。」とプレスリリースには書かれています。

しかし、旭化成ファーマのプレスリリースから1年以上遅れています。参天製薬や千寿製薬も臨床試験中ということですので、緑内障治療に向けたRhoキナーゼ阻害薬はかなりの激戦になりそうです。
知り合いの話によると、ラタノプロスト(キサラタン®)よりもよく効くRhoキナーゼ阻害薬はないだろうということです。おそらく、ラタノプロストにとって代わるというよりも、効果が不十分な時に併用することになるだろうと思われます。

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