以下は、記事の抜粋です。
米ラスカー財団は9月21日、ダグラス・コールマン米ジャクソン研究所名誉教授とジェフリー・フリードマン米ロックフェラー大教授にラスカー賞の基礎医学賞を贈ると発表した。
食欲や脂肪分解を制御するホルモン「レプチン」を発見した功績。
1945年に創設されたラスカー賞は米国で最も権威ある医学賞とされ、受賞者の多くが後にノーベル賞に輝いている。昨年は、全身のさまざまな細胞に変化できるiPS細胞の作製に世界で初めて成功した山中教授が受賞した。
The Lasker Foundationのサイトに行ってみました。受賞理由は、「食欲と体重を制御するホルモン、レプチンの発見—肥満研究を分子レベルに導いたブレークスルー」です。
Douglas Colemanは、1960年台後半から肥満マウスの研究を始めました。彼がdiabetes (db)と名づけたマウスは、劣性遺伝変異をホモに持つ場合に著しい肥満を示します。1969年彼は、dbマウスの血中に野生マウスの食欲を無くし、餓死させる物質があることを報告しました。
Colemanは、別のobese (ob)と名づけた別の遺伝子変異を持つ肥満マウスも発見しました。このマウスは、肥満という表現型は同じですが、dbマウスの血中の物質はobマウスの食欲も無くしてしまいました。
Jeffrey M. Friedmanは、1986年にロックフェラーに職を得てすぐにobマウスの遺伝子解析を開始し、1994年に遺伝子を決定し、レプチンと名づけました。彼のグループは、脂肪細胞がレプチンを産生することやヒトの脂肪細胞もレプチンを発現することを明らかにしました。
今では、Colemanが最初にみつけたdbマウスはレプチン受容体に変異があり、obマウスはレプチン遺伝子に変異があることがわかっています。dbマウスでは、過剰発現したレプチンが血中に大量に存在します。この大量のレプチンが野生マウスやobマウスの食欲を無くさせ、餓死させたのです。
レプチンの話はいかにも肥満治療薬に結びつきそうですが、未だレプチンあるいはレプチン受容体に関連した肥満治療薬はありません。
Douglas ColemanとJeffrey M. Friedman (The Lasker Foundationのサイトより)。
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