スタチンと認知症リスクに関するメタ分析

スタチンと認知症リスクに関するメタ分析、最も顕著な予防作用が示された薬剤は
以下は、記事の抜粋です。


世界の認知症患者数は、5,500万例に達するといわれており、2050年までに3倍に増加すると推定されている。心血管系への効果を期待し広く用いられているスタチンには、神経保護作用があるとされているが、認知症リスクに対する影響については、相反する結果が報告されている。ブラジル・アマゾナス連邦大学のFernando Luiz Westphal Filho氏らは、関連する研究を、PubMed、Embase、Cochraneより検索した。性別、スタチンの種類、糖尿病の有無によるサブグループ解析を実施し、認知症、アルツハイマー病、脳血管認知症リスクを評価した。

主な内容は以下のとおり。

・55件の研究、700万例超の観察研究をメタ解析に含めた。
・スタチン使用は、非使用と比較し、認知症リスクが有意に低かった(ハザード比[HR]:0.86、p<0.001)。
・アルツハイマー病(HR:0.82、p<0.001)および脳血管認知症(HR:0.89、p=0.093)のリスク低下も認められた。
・サブグループ解析では、2型糖尿病患者、3年以上スタチンを使用している患者、最大の保護作用が認められたアジア人集団において、認知症リスクが有意に低下していることが明らかとなった。
【2型糖尿病患者】HR:0.87、p<0.001
【3年以上スタチンを使用している患者】HR:0.37、p<0.001
【最大の保護作用が認められたアジア人集団】HR:0.84
・すべての原因による認知症に対し最も顕著な予防作用を示したスタチンは、ロスバスタチン(HR:0.72)であった。


元論文のタイトルは、”Statin use and dementia risk: A systematic review and updated meta‐analysis(スタチン使用と認知症リスク: システマティックレビューと最新のメタアナリシス)”です(論文をみる)。

上の記事にはロスバスタチン(クレストールⓇ)しか書かれていませんが、論文には以下のように書かれています。


サブグループ解析では、高効力スタチンについてのみ統計的に有意な結果が得られた(HR 0.7232、95%CI:0.6706〜0.7799)。最後に、特定のスタチン(シンバスタチン(リポバスⓇ)、ロバスタチン(日本では市販されていない、紅麹の成分)、プラバスタチン(メバロチンⓇ)、フルバスタチン(ローコールⓇ)、アトルバスタチン(リピトールⓇ)、ロスバスタチン(クレストールⓇ)、ピタバスタチン(リバロⓇ))のサブグループ解析を実施した。これらのうち、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンのみが統計的に有意な結果を示した。7 件の研究のサブグループで分析されたロスバスタチンは、認知症のリスクを約 28% 低減 (HR 0.7242) と最も大きく低減した。アトルバスタチンは 8 件の研究のサブグループで認知症リスクを約 11% 低減し、フルバスタチンは 7 件の研究の分析で 7% 低減した。


今後は特に問題がなければ、ロスバスタチンを処方したいと思います。

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