「AIによる医療診断の精度は人間の医者と同程度でしかない」という指摘
以下は、記事の抜粋です。
AIによる医療診断の研究は近年急激に進んでいて、「AIが人間よりも優れた精度で診察できる」と結論づける研究は多く存在します。例えば、Googleが開発した肺がん検出用のAIは人間の医師よりも高い検出率を誇っていると報告されていました。
また、AIは人間よりも高い精度で診断ができるため、AIで診断することで「診断ミスによる不必要な切除手術を受けなくて済む患者が増える」と主張する研究者もいました。
Xiaoxuan Liu博士やAlastair Denniston博士らの研究チームは、2012年以降に発表されたディープラーニングに関わる研究論文を調査しました。AIによる診断に関する研究論文は2万件以上存在したそうですが、「質の高いデータを用意しつつ、AIに分析させたものと同じ画像を人間の専門家にも見せて比較している研究」に絞って調べたところ、わずか14件しか見つからなかったとのこと。
研究チームは14件の研究の中から最も有望な結果を集め、その上でAIが人間の病気を正確に診断した精度を算出しました。すると、人間の医者が86%という精度で正確な診察をしていたのに対して、AIは87%という精度だったとのこと。また、病気完治の診断精度は、人間が91%だったのに対して、AIは93%でした。つまり、内容が充実している研究だけを考慮した場合、人間の医者とAIによる診断の精度に大きな差はなかったというわけです。
有名な医学雑誌Lancetに掲載された論文のタイトルは、”A comparison of deep learning performance against health-care professionals in detecting diseases from medical imaging: a systematic review and meta-analysis”です(論文をみる)。
紹介したGigazineの記事は、なぜか「AIによる医療診断の精度は人間の医者と同程度でしかない」と否定的に書いていますが、この論文の「人間の医者」は” health-care professionals”ですので、専門でない医者を含めれば、AIの診断能力は圧倒的に優れていると考えられます。
電子カルテに患者の所見や検査データをインプットすれば、推測される診断名候補やそれらに対する治療が示されるようなAIによるサポートは、今でも十分可能だと思います。また、治療のための投薬が適切かどうかなどのチェック機能は、AIの方が薬剤師よりも優れている可能性もあります。臨床現場への一日も早い導入を希望します。
コメント
現場の薬剤師です。
調剤、投薬に関してはAIの方が上手くできるケースの方が多いと思ってます。
コメントありがとうございます。僕も患者さんの情報さえ正確にインプットできれば、AIの方が診断や治療方針は上手くできると思います。