鉄トランスポーター Vit1:チューリップの花びらを青くする働き

青い花、「鉄」が一役 チューリップ研究で判明

以下は、記事の抜粋です。


チューリップに赤や白、黄色の花はあっても青い花はない。だが、花の奥の部分だけは青い品種があり、青くなるには細胞内に鉄が多く含まれるのが重要なことが、富山県と名古屋大のグループの研究でわかった。

富山県で生まれたチューリップ「紫水晶」は、花びらの上部は紫色だが、底の部分は青色。両方の細胞を比べたら、赤や青の色を出すアントシアニン色素の種類や量、pHには、ほとんど差がなかった。ただ、青色の細胞では、細胞内に含まれている鉄イオンの量が、紫色の細胞より25倍も多かった。

グループは青色細胞で働いている遺伝子から、鉄を運ぶたんぱく質Vit1を見つけた。Vit1の働きは、細胞が青くなる前に最も高くなっていた。運び込まれた鉄は色素と結合して、青を発色したとみられた。Vit1の遺伝子を紫色細胞に入れると、その細胞だけ青くすることにも成功した。


発表された論文の要約をみると、Vit1は液胞膜に存在する鉄イオン輸送体のようです。

酵母にもCcc1pというVit1のホモログがあり、酵母でチューリップのVit1を過剰発現すると、酵母が高濃度の鉄イオンの存在下でも生育可能になるそうです(分裂酵母のホモログは、Pcl1です)。

単細胞生物では、液胞にある金属イオン輸送体は、金属イオンの毒性を液胞に閉じ込めるためだけに働いているのかと思っていましたが、この例のように、液胞に貯蔵したイオンを積極的に利用するメカニズムもあるかもしれません。

まだ紫の『青いキク』」でも書きましたが、青いキクを作るのはなかなか難しいようです。Vit1が役に立てば良いですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました