勤務医:「うつ」12人に1人 休日「月4日以下」46%
勤務医9%、心身の疲れ「深刻」 日本医師会調査
医師の6% 自殺考える…日本医師会調査
以下に毎日新聞の記事を抜粋して貼り付けます。
日本医師会は、勤務医1万人を対象にした健康に関するアンケートで、勤務医の12人に1人が精神面の支援を要する「うつ状態」にあるとの分析結果をまとめた。休日や睡眠時間の少なさに加え、患者からのクレームなどの矢面に立たされることへのストレスが大きいとして、医療機関に医療事故や患者とのトラブルでは組織的な対応を取るよう求めていく。過酷な勤務実態を受けて、医師の健康面に特化した大規模な調査は初めてという。
今年2~3月、男性勤務医8000人、女性勤務医2000人に調査票を送り、3879人から回答を得た。最近1カ月の休日は46%が4日以下で、9%は「なし」。睡眠時間は6時間未満が41%を占め、20代では63%に上る。当直は45%が一度もなかった一方で、10%は1カ月で6回以上あった。患者対応では、46%が「半年以内に患者ら家族から不当なクレームを受けたことがある」と答えた。
また、勤務医のメンタルヘルスについて「死や自殺を考えた」「自分を責めがち」など約30項目の質問の答えを点数化したところ、8.7%が「メンタルサポートの必要がある」と判定され、若い世代ほど割合が高かった。
同じ調査に基づく記事ですが、朝日では、以下のように書かれています。
寝つきの悪さや、食欲の有無、集中力の低下など、精神的な疲れをみる16項目の回答を点数化した。その結果、9%が中程度以上の深刻な状態にあり、メンタルヘルスの支援が必要だと判定された。5%は1週間に何回も数分以上、自殺や死について考えていた。1%は「具体的な計画を立てたり、実際に死のうとしたりした」という。
1カ月の休日は4日以下が46%。8日以上は男性が18%、女性で32%。病院の規模が大きいほど、睡眠時間が短く、休日も少ない傾向だった。53%は、自分の体調不良を「他人に相談しない」と答えた。理由として、「自分で対応できる」という自信や、「同僚に知られたくない」「自分が弱いと思われそう」と、孤立しがちな状況もうかがわせた。
ついでに、サンケイの記事も紹介します。
「自殺や死について1週間に数回考えることがある」と回答した人は5.3%。「実際に自殺を計画したり、死のうとした」と答えた人(0.4%)と合わせると約6%いた。72.3%が「メンタルヘルスを支援する態勢整備」について「必要」と回答し、「少なくとも週に1回の休日」を求める人は89.1%を占めた。
「患者や家族からの不当なクレームやトラブルがあった」と答えた人は44.4%。医師会の今村聡常任理事は「患者からのクレームが医師にとってストレスになっている」と訴えた。
メンタルヘルスに関する質問の項目数が、毎日と朝日で違うのは不思議ですが、「8.7%が『メンタルサポートの必要がある』と判定された」のは事実のようです。この数字が高いのか低いのかについては、看護師や、企業の営業マンなどとの比較がないので、どちらとも結論できないと思います。
毎日は、この『メンタルサポートの必要がある』と判定された人を『うつ』と定義しているようです。これは、間違った定義だと思います。医師会も同意しているのでしょうか?
また、「1カ月の休日は4日以下が46%」とは書かれていますが、労働時間数は示されていません。もしも、勤務実態が労働基準法に違反しているのであれば、そのように書くべきです。夜勤や当直などの不規則な勤務を反映しているだけの可能性もあります。
サンケイの記事の見出しは、誤解を招くものです。調査は勤務医だけなのに、医師全体の6%が自殺を考えているように書いています。正しくは、「勤務医の6% 自殺や死を考えたことがある」ですね。この6%が高いか低いかについても、他の職種との比較がないのでなんとも言えません。医師会が何のためにこのような調査をしたのか?何が一番問題なのか?解決のために何が必要なのか?などがはっきりしません。
医師会にはもう少し科学的な調査を、マスコミにはもう少し正確な報道をお願いします。
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