アルツハイマー病は、脳だけの病気ではなく全身の病気かもしれない

「アルツハイマー病は脳だけに起因する病気ではない」、研究結果が明らかに
以下は、記事の抜粋です。


アルツハイマー病は、特殊なタンパク質が脳の中に蓄積し、正常な神経細胞を変化させることで、脳の働きを低下させたり、萎縮を進行させたりする脳疾患だ。

原因となるタンパク質のひとつ「アミロイドβ」は脳組織で生成されると考えられてきたが、脳以外で生成されたものもアルツハイマー病を引き起こしうることが明らかになった。

カナダのブリテッシュ・コロンビア大学と中国の第三軍医大学との共同研究プロジェクトは、血液循環から生成された「アミロイドβ」が脳内に入り込み、蓄積し、神経細胞の機能を損なわせることを示す研究結果を発表した。

研究では、アルツハイマー病にかかっていない正常なマウスと、遺伝子改変によって「アミロイドβ」を生成する突然変異のヒト遺伝子を持つマウスとを、「パラバイオーシス」と呼ばれる手法を通じて外科的に結合し、循環系を1年にわたって共有させた(下図参照)。その結果、正常なマウスがアルツハイマー病に罹患。遺伝子改変されたマウスから正常なマウスの脳に「アミロイドβ」が輸送され、蓄積し、損傷を与えはじめたものと考えられている。

また、「血液と脳の組織液との間の『血液脳関門』は、加齢に伴って弱くなる。これによって、より多くの『アミロイドβ』が脳に浸潤し、脳で生成されている『アミロイドβ』と相まって、アルツハイマー病の進行を加速させる可能性がある」と考察している。

認知症の人は、世界全体でおよそ4700万人にのぼり、日本でも、2012年時点で、462万人が認知症患者であると推計されている。この研究結果は、認知症を引き起こすもののうち最も多い疾患であるアルツハイマー病の治療法の発展に、少なからず寄与しそうだ。


元論文のタイトルは、”Blood-derived amyloid-β protein induces Alzheimer’s disease pathologies”です(論文をみる)。

まだネズミモデルでの話ですが、興味深い結果だと思います。

ヒトでも同じ可能性があるとすれば、抹消で発生するアミロイドβなどを減らすことでアルツハイマー型の認知症の発症が抑制されることになります。恥ずかしながら抹消でもアミロイドβができるとは知りませんでした。事実だとしたら、末梢血中のアミロイドβ量とアルツハイマー病の相関を調べて欲しいと思いました。

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