投げる?保管する?子どもの乳歯は、「セル(細胞)保管」が当たり前の時代がくる
以下は、記事の抜粋です。
昔ならば放り投げていた歯に、いま医療現場から熱い視線が注がれている。歯に含まれる歯髄(歯の神経)からいくつかの幹細胞が発見された。この幹細胞が「再生医療」の現場で注目されている。
この“再生の種”となる幹細胞が詰まっているのが歯髄。 つまりは、将来自分の身に起こるかもしれない病気やケガに備えて、子どもの頃の健康な状態の乳歯を、特別に設計された保存液の中で保管し、「来るべき時に備える」ための歯髄バンクに預けておこうという動きが、古い風習に代わって高まっているようなのです。
幹細胞による再生医療は、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、山中教授のiPS細胞作製を機に、ますます注目されるようになってきました。 そこに、乳歯のなかの幹細胞そのものにも再生の可能性が秘められている、といった研究結果が加わり、誰にも歯髄保管を選択するチャンスがめぐってきた訳です。
日本にも「歯髄細胞バンク」はあり、すでに1,000人近い人の歯が保管されているそうです。なんでも、乳歯だけでなく、親知らずでも幹細胞の保存が可能だとか。つまり、永久歯であっても大丈夫。
ただし、それなりにコストは掛かります。こちらのバンクの場合、登録、培養、10年保管でおおよそ30万円。11年目以降はさらに10年保管で12,000円といった具合。
関連記事に紹介したように、現在でも尿中の浮遊細胞からでも神経前駆細胞を得ることができます。10年も経てばもっと簡単・確実に再生医療に用いる自分の細胞を利用できるようになるでしょう。
また、iPS細胞を用いた再生医療で計画されているように、自分の細胞を用いるのではなく、自分の細胞と抗原性の近い他人の細胞から作成したiPS細胞を用いる方法が主流になる可能性もあります。これらの理由から、「歯髄細胞バンク」はいかがわしい「再生医療ビジネス」のような気がします。
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