KRAS阻害薬「daraxonrasib(ダラクソンラシブ)」登場のインパクト

「膵がん治療戦略が変わる」KRAS阻害薬登場のインパクト
画期的な膵がん治療薬「daraxonrasib(ダラクソンラシブ)」を使った日本の医師達の意見です。以下は、記事の抜粋です。


新薬daraxonrasib(ダラクソンラシブ)は、既治療の転移性・進行性の膵管腺がん(mPDAC)に対する第III相臨床試験で、従来の化学療法と比べて死亡リスクを6割低下させるという鮮烈な結果を示したが、その意味と今後の展望について、神奈川県立がんセンターの上野誠部長、国立がん研究センターの森實千種氏の2氏の見方を紹介する。

ハザード比0.4、「とんでもないものが出てきた」
ダラクソンラシブが単剤で、従来の標準治療に大差をつけたP3試験(RASolute 302)の結果は「鮮やかだった」(森實氏)という。

RASolute 302が対象としたのは、既治療のmPDAC患者500例。ダラクソンラシブ300 mgを1日1回投与する群248例と、治験担当医師が選択した標準的な化学療法を行う群252例に分けて比較した。主要評価項目のRAS G12変異群におけるOS中央値はダラクソンラシブ群13.2カ月で、化学療法群6.6カ月の約2倍(ハザード比[HR]0.40、P<0.0001 、下図)。ダラクソンラシブが複数の変異を多重選択的(multi-selective)に狙い撃てることが示された。

「今回は標準治療に対して経口薬1剤だけの比較です。それもハザード比0.40というのは、あまり見ない数字と言っていいでしょう」(森實氏)

上野氏も「一定の副作用はあるけど、圧倒的な治療成績の改善を示したことは確かです。腫瘍縮小割合も33.2%と驚くような数字です。他のがんにしたら大した数字に見えないかもしれないが、極めて難治な膵がんの、それも二次治療ですから、本当に『とんでもないものが出てきた』という印象です。間違いなく画期的、過去になかった薬が出てきました」と語る。

副作用はやはりそれなりに
RASolute 302で、OSや無増悪生存期間の大幅延長とともに強調されたのが、副作用の軽さや治療中の生活の質(QOL)の良好さだった。ダラクソンラシブ治療関連有害事象として報告されたのは発疹、口内炎、下痢など。特に発疹は85%で見られたが、多くはグレード3未満だった。有害事象を理由とする試験脱落者は、化学療法群の11.2%に対し、ダラクソンラシブ群は1.2%と、忍容性も高かった。ダラクソンラシブ群は、患者報告に基づくがん性疼痛や健康状態、QOL評価も有意に良好だった。

これだけをみると「治療が楽で、結果も良い薬」と解釈してしまいそうになるが、2氏は「それは違う」と口を揃える。

「不用意なことは言えませんが、膵がんを根治できるわけではないし、やはりそれなりの副作用があります。入院を要するような副作用は確かに少ないけれど、下痢、口内炎、皮疹にはやはり注意が必要です。口内炎や下痢はQOLを直接的に損なう副作用であり、一定のケアを要します。」(上野氏)。

森實氏も、「発疹や下痢、口内炎という副作用は、『知らない間に白血球が減っていた』といった血液毒性の副作用より患者さん本人が自覚しやすいものです」と話す。

開発競争が激化するKRAS阻害、何が主流になるかは分からない
「RASolute 302の結果は素晴らしいものでしたが、熾烈な薬剤の生存競争の中で一番条件が良い薬が何になるのかはまだ分かりません。KRAS阻害を標的にした開発競争はまだこれからで、しっかり見届ける必要があります」と森實氏。

膵がん治療ストラテジーがすべて再定義される
膵がんは言わずと知れた予後不良のがんだ。分子標的薬の時代になっても膵がんでその状態が続いたのは、KRAS阻害という難題をクリアできなかったからだ。その壁を越えたことについて、森實氏は、「自分が生きている間にそういう時代が来るか分からなかったのに、実際に癌が縮小する姿を目にすることができた」と感慨をもらし、今後の展望をこう総括する。

「まだ先は長いが、膵がんに関する治療ストラテジーが全部、いちから再定義されていくことになると思います」


私の知り合いも膵がんで亡くなりました。今後のKRAS阻害薬の展開に期待しています。

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