牛の知性は高い

牛が孫の手代わりにモップで背中をかく。道具を目的別に使い分ける高度な能力が判明
以下は、記事の抜粋です。


道具を使う生き物は、ヒト以外にはチンパンジーやカラス、ラッコやイルカなどが確認されているが、その数は決して多くはない。

だが今後はその生き物たちのリストに、「牛」の名前が記されることになるかもしれない。オーストリアの農場で暮らす15歳の牛は道具(デッキブラシ)を使って体を掻くことができるのだ。

それだけではない。彼女は体の部位に合わせて「ブラシの毛」と「持ち手の柄」を使い分けるという、高度な応用力を見せた。

こちらが話題の「道具を使う牛」ヴェロニカである。13歳のメスだ。まずはブラシのついている側で、背中をかいている様子を見てみよう。

人間が孫の手を使って背中を掻くように、ヴェロニカはデッキブラシの柄の部分を口に加え、器用にブラシ部分で背中を掻いている。

そしてこんどは、柄の根元を持ち、おなかを搔いている様子だ。デッキブラシを持ち替え、まさに「痒いところに手が届く」状態を自ら作り出しているのである。

ウィーン獣医大学のアリス・アウアースペルク博士らの研究チームによるこの研究は、牛の道具使用における初めての科学的な記録であり、人間とチンパンジー以外では極めて稀な「道具の使い分け」能力を確認した貴重な報告である。

現在13歳のヴェロニカは、体が痒いとき、木の枝を口にくわえて、痒い場所を自分でかいていた。年月が経つにつれ、ヴェロニカのテクニックは上達していった。デッキブラシやほうき、熊手のような大きな道具を拾い上げ、口と舌で器用に動かすことができるようになった。さらには痒いところに道具の先がぴったり届くよう、その長さや向きを自在に変えるまでになったという。

この行動が科学の表舞台に出たのは、2025年夏のことだった。アウアースペルク博士の元に、友人からヴェロニカの動画を紹介するメールが届いたのだ。当初、博士は懐疑的だったという。だが映像を見たとき、博士は「これは偶然ではない」と受け取った。

博士によると、道具の使用と認められるには、主に3つの基準を満たす必要があるという。

第一に、道具が動物の体の一部、つまり延長として機能していること。第二に、道具を使うことで、本来なら非常に困難なことが可能になること。そして第三に、目的を果たすために、動物が道具の向きを変えることだ。

ヴェロニカがこの基準を満たしているかを確かめるため、博士らは、ヴェロニカの暮らす村を訪れ、2週間にわたり、70回の対照実験を行った。

具体的には、頑丈なデッキブラシをランダムな向きで地面に置き、ブラシのどちら側を選ぶか、体のどの部位を狙うかを記録した。するとほぼすべてのケースで、ヴェロニカはそのブラシを道具として使用した。長い舌をハンドルに巻き付け、ブラシが自分の体に向くようにひっくり返すのだ。

その結果、ヴェロニカは背中のような広く皮膚が厚い部位では、デッキブラシの毛側を選び、ゴシゴシとかく傾向が大きかった。一方で下半身にある乳房や、皮膚が柔らかくて敏感な部位をかくときには、ヴェロニカはブラシを逆向きにして、滑らかな柄の側に切り替えることがあった。

さらに彼女は、道具の扱い方も調整していた。上半身をかくときは大きく力強い動きを見せるのに対し、下半身の場合はよりゆっくりと注意深く、高度にコントロールされた動きを行っていたのだ。

ある道具を複数の目的によって使い分ける「多目的な道具使用」は、人間を除けばチンパンジーでしか確認されていないとアウアースペルク博士は指摘する。

野生のチンパンジーは、木の枝の太い方の端でシロアリの巣に穴を開け、細い方の端で中の虫を釣り上げることが知られている。こうした例は極めてまれで、博士は「牛でこのような能力を見るのは全くの予想外でした」と語っている。

今回の発見は、牛における道具使用としては初めての記録であり、この種が柔軟で多目的な道具使用能力を持っていることを示す初めての証拠でもある。家畜生物学研究所のヤン・ラングバイン博士も、この発見を称賛し、牛の知性を高く評価している。


記事に書かれているように、多くの家畜は、操作できるような物体がない、比較的単調な環境で暮らしているので、知性を発揮できないのかもしれません。

クジラを食べる日本人が許せないのは、「クジラの知性が高いからだ」とアメリカ人に言われたことを思い出しました。

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