老眼の点眼薬、米で承認 薬物治療に新たな選択肢
以下は、記事の抜粋です。
米製薬企業レンズ・セラピューティクスは、同社が開発した老眼治療用の点眼薬「VIZZ」が米食品医薬品局(FDA)に承認されたと発表した。米国では2021年に他社製品の「VUITY」が承認されており、老眼の薬物治療に新たな選択肢が加わった。
日本には今のところ老眼用の承認薬がないが、老眼は加齢に伴ってほぼ全ての人がかかる疾患だけに、眼鏡や手術に頼らない簡便な対策として注目されそうだ。
正常な目は「毛様体筋」という筋肉が伸縮し、レンズの役割をする水晶体の厚みを変えることでピントを合わせる。しかし年齢を重ねると毛様体筋が衰え、水晶体の弾力性も失われる。その結果、ピントを合わせにくくなり近くがぼやける。これが老眼だ。
同社によると、VIZZの有効成分アセクリジンは毛様体筋ではなく、瞳孔(黒目)の大きさを調節する虹彩の筋肉「瞳孔括約筋」に作用し、瞳孔径を2ミリ未満に縮小する。これによって「ピンホール効果」が生じ、近くに焦点が合いやすくなる。1日1回の点眼で30分以内に効果が表れ、最長10時間持続する。
先行したVUITYも同様に瞳孔を縮小させるが、その有効成分ピロカルピン塩酸塩が瞳孔括約筋と毛様体筋の両方を収縮させるのに対し、アセクリジンは瞳孔括約筋に選択的に働くため副作用を軽減できるという。
臨床試験では刺激感やかすみ目、頭痛などの副作用が報告されたが、同社は「大部分は軽度かつ一過性で、自然に消失した」としている。ピロカルピン塩酸塩の点眼薬は、日本では緑内障の治療に使われているが、老眼の改善目的では自由診療扱いとなり、保険は適用されない。
アセクリジンは、ムスカリン性アセチルコリン受容体作動薬として作用する副交感神経刺激性コリン作動薬です。眼科では、縮瞳剤として瞳孔を収縮させます。ヨーロッパでは緑内障の治療薬として歴史的に使用されてきましたが、上の記事に書かれているように2025年に米国で初めて老眼矯正用の点眼薬として承認されました。
ムスカリン受容体には現在のところ、以下のような5つのサブタイプが同定されています。
M1 中枢神経、認知・興奮
M2 心臓(徐脈)
M3 平滑筋・腺分泌・眼(瞳孔括約筋・毛様体筋)
M4/M5 中枢優位(臨床的意義は限定的)
ピロカルピンは、非選択的ムスカリン受容体作動薬でM1〜M3受容体をほぼ均等に刺激し、低分子・脂溶性 → 組織移行性が高い特徴があります。一方、アセクリジンは、ムスカリン作動薬だが
機能的にM3優位で、組織滞留性が高く、全身移行が少ないそうです。いずれにしても、焦ってピロカルピンを使うのはやめた方が良いです。
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