ベンゾジアゼピン系薬剤と認知症の関連性:カナダ健康調査および医療行政データベースを用いた症例対照研究
以下は、論文要約の抜粋です。
背景:ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)は不眠症や不安症に広く処方されるが、長期使用は認知機能低下を加速させる可能性がある。前駆期認知症症状がBZD処方を促す逆因果バイアスが生じるため、証拠は一貫していない。
目的:BZD曝露量、使用期間、および半減期が認知症発症と独立して関連するか検証し、前駆期による交絡要因を探索する。
方法:カナダ地域健康調査と医療行政データベースを連結したTorsadeコホートにおいて症例対照研究を実施。BZD曝露量、使用期間、半減期を解析。モデル1は認知症リスク因子で調整、モデル2は潜在的なBZD適応症(不眠症、不安、うつ病)を追加調整。前駆期効果を検証するため、指標日を診断の1~10年前まで遡及。症例は50歳以上の認知症成人、対照群は性別、年齢、追跡期間、教育歴でマッチング。
結果:1082例の症例と4262例の対照において、モデル1ではBZD使用全般が認知症と関連していた(オッズ比1.65、95%信頼区間1.42-1.93)。半減期が長い分子(オッズ比 2.81)は中程度の半減期(オッズ比 1.57)よりもリスクが高かった。モデル2では、慢性使用(180日超)は診断前4年以内にのみ認知症と関連した。
結論:BZD曝露は認知症リスク上昇と関連し、半減期が長い薬剤で最も強い。慢性使用関連が4年間の初期症状期に限定されることは、適応による交絡または逆因果関係を暗示する。これらの知見は、高齢者におけるBZDの慎重かつ期間制限のある処方が必要であることを強調する。
高齢者にBZD系薬物を使わないようにするのはもちろん、若いヒトでもできるだけ使わないようにしたいです。ところで、半減期の短いものなら大丈夫なの?と思いました。



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