認知症になりやすい遺伝的背景のある糖尿病患者も生活習慣次第でリスクが著明に低下
以下は、記事の抜粋です。
2型糖尿病患者が心臓や血管に良い生活習慣を続けた場合、認知機能の低下を防ぐことができる可能性が報告された。特に、認知症リスクが高い遺伝的な背景を持つ人では、この効果がより大きいという。
テュレーン大学のYilin Yoshida氏らの研究では、英国の一般住民を対象とした大規模疫学研究「UKバイオバンク」の参加者のうち、認知症でない4万人以上の成人2型糖尿病患者を対象に、認知症の遺伝的リスクと、心臓や血管の健康状態を調査した。後者の「心臓や血管の健康状態」の調査では、AHAが提唱している「Life’s Essential 8(健康に欠かせない8項目)」の遵守状況を調べた。具体的には、Life’s Essential 8に含まれている4項目の生活習慣と4項目の検査値をそれぞれスコア化した上で、不良、中程度、良好という3群に分類した。なお、Life’s Essential 8の8項目は以下のとおり。
1. 健康に良い食習慣
2. 積極的な身体活動
3. タバコを吸わない
4. 健康的な睡眠
5. 適正体重の維持
6. コレステロールのコントロール
7. 血糖値のコントロール
8. 血圧のコントロール
この研究参加者の健康状態を13年間にわたって追跡したところ、840人が軽度認知障害となり、1,013人が認知症を発症していた。心臓や血管の健康状態が中程度または良好な人は不良の人に比べて、軽度認知障害または認知症を発症するリスクが15%低かった。また、心臓や血管の健康状態は、認知機能にとって重要な脳の灰白質という部分の体積と強い関連があった。
つまり、認知症リスクが高い遺伝的な背景を持つ人では、そのリスクが低い、または中程度の人に比べて、心臓や血管の健康状態が良好であることで、軽度認知障害または認知症を発症するリスクが顕著に抑制されていた。より具体的には、心臓や血管の健康状態が不良の同世代の人に比べた場合に、軽度認知障害のリスクは27%低く、認知症のリスクは23%低かった。
研究グループの一員である同大学のXiu Wu氏は、「運命は遺伝子で規定されるものではない。心臓と血管の健康を最適な状態に維持することで、遺伝的に認知症リスクが高い2型糖尿病患者であっても、脳の健康を守ることができる」と話している。
高血糖が心血管の不良状態をもたらすことは明白な事実です。この記事からだけでは、高血糖と心血管の不良状態のどちらが認知症リスクを高めたのかわからないです。いずれにしても、糖尿病にならないように、なったとしても心臓と血管の健康に注意することは認知症予報に重要みたいです。要するに、生活習慣は認知症予防に重要という当たり前の話です。



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