病院内でのマスク着用はもう不要なのか、大阪大学・忽那賢志
コロナで大活躍した忽那先生の記事です。以下は、抜粋です。
阪大病院はマスク解除したわけではありません。あくまでユニバーサルマスキングをやめただけです。
ユニバーサルマスキングとは何か
ユニバーサルマスキングというのは、症状のある人もない人も全員がマスクを着用することを指します。これは、SARS-CoV-2というウイルスが、無症候性感染者からも唾液を含む飛沫を介して伝播するという性質を持っているためであり、特に病院内では重症化しやすい免疫不全者や高齢者が多いということで、2023年5月にコロナが5類感染症になった後も継続していた医療機関が多いのではないかと思います。
しかし阪大病院では、2024年10月からは「スタッフのみの居室・会議室・スタッフルームなどではマスク着用は必須ではない」と変更し、さらには2025年7月からはユニバーサルマスキングを終了しました。
これは「マスクを外してください」というものではなく、あくまで「マスクを着けるかどうかは個人の判断とします」ということであります。ですので、現在も院内の7割くらいの人(スタッフも患者さんも)はマスクを着けたままです。
また、咳やくしゃみなどの症状のある人は飛沫を飛ばさないようにマスクを着用することをお願いしていますし、流行状況によっては一時的にユニバーサルマスキングに戻す可能性もある、ということにしています。
変わったのはマスクの効果評価でなくコロナを取り巻く状況
マスクは効果があります。これは間違いのない事実です。ただ、マスクには効果がある一方で、われわれが警戒している対象であるCOVID-19については変化が起こっています。
5類感染症になってからのCOVID-19の定点当たり報告数の推移をみると、定点当たりの報告数は緩徐に減少傾向にあります(もちろん「病院を受診していないだけ」「検査を受けていないだけ」という可能性もありますが)。これは、ワクチンだけでなく自然感染によって得られた集団の免疫によって緩徐に規模が漸減しているものと考えられます(最後の感染から時間がたつと再感染するので、本当の意味での集団免疫ではありません)。
自然感染の割合については、最後に調査されたのが2024年3月で、この時点で日本に住む人の6割が新型コロナに自然感染しているので、今ではもっと高い割合になっているものと思われます。
実際に阪大病院の状況を見ても、クラスターの頻度や規模は明らかに低下・縮小傾向にありました。また、病院内でCOVID-19の患者が発生した場合も、かつてのように10人単位で爆発的に広がるような状況ではなくなってきました。
このような状況を踏まえ、ユニバーサルマスキングは一定の役割を果たし終えたと判断し、2025年7月に終了したというわけです。ちなみに、ユニバーサルマスキング終了から3カ月経過しましたが、阪大病院では今のところ大きなクラスターは発生していません。
また大きな波が来たら再開すればよいだけ
私は基本的に、ユニバーサルマスキングは流行状況に合わせてメリハリをつけて行えばよいと言って参りました。感染症は波があるので、また大きな波が来ればユニバーサルマスキングを再開すればよいのではないかと思っております。
先生方のご施設での参考になりましたら幸いです。
私もまったく同意見です。病院を訪れる患者さんや家族がマスクをすることは、これからも必用で続くことになると思います。



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