雄のグッピーの色彩の複雑な遺伝的構造が明らかになりました

グッピーはオレンジ色が強ければ強いほどセクシー
以下は、記事の抜粋です。


オスのグッピーは複雑な模様と多様な色をまとっていますが、なぜこれほどまでに個体差があるのかは分かっていませんでした。

ブリティッシュコロンビア大学のワウター・ファン・デル・ビル氏らはディープラーニング分析と遺伝子研究を組み合わせ、オレンジ色が鮮やかになるようグッピーを3世代にわたって繁殖させました。

その結果、オレンジ色が鮮やかなオスのグッピーは他のグッピーと比べてメスへ求愛する頻度が高く、求愛時間が長くなり、こっそりと交尾を試みる傾向も強いことが分かったとのこと。こうしたオスは他と比べて最大2倍の性的活動を行い、繁殖能力も高かったそうです。

さらに、研究チームはグッピーの体色に関係している遺伝子が複数の染色体に遍在していることを発見。このうちオレンジ色の発現にかかわる遺伝子7種と黒色の発現に関わる遺伝子8種を特定することにも成功しました。これらの遺伝子の組み合わせによって3万2768種もの体色パターンが形成されるそうです。

これまでの観察では、メスのグッピーはオレンジ色が強い個体や珍しい模様の個体を好むことが確認されていて、メスが色や模様を見分けているという仮説も立てられていました。今回の研究により、メスが見分けているのではなく、単に体が強く精力的な個体ほど鮮やかな色や模様になりやすいだけなのではと考えられるようになりました。


元論文のタイトルは、”Deep learning reveals the complex genetic architecture of male guppy colouration(ディープラーニングは、雄のグッピーの色彩の複雑な遺伝的構造を明らかにする)”です(論文をみる)。以下は、その論文要旨からの抜粋です。


オスのグッピー ( Poecilia reticulata ) の色彩における並外れた多様性は、自然選択と性選択の相互作用を研究するための強力なモデルです。しかし、この多様性の複雑さが、オスのグッピーの色彩の基礎となる遺伝子構造の高解像度での特徴付けと決定を妨げ、この並外れたレベルの多様性がどのように維持されているかについての理解を曖昧にしていました。本研究では、高解像度の表現型解析のための畳み込みニューラルネットワーク、選択実験、管理された家系、および色彩形質のゲノムワイド関連研究のための全ゲノム再配列解析を組み合わせて、オスの色の変異の遺伝率と遺伝的基礎を特定しました。表現型とゲノムの結果は、グッピーの色のパターンが多くの遺伝形質の組み合わせであり、それぞれがゲノム全体にわたるほぼ独立した遺伝子構造を持っていることを示しています。常染色体遺伝の装飾は多遺伝子性であり、神経堤細胞の移動に関与する遺伝子座からの寄与が大きくなっています。珍しいことに、私たちのゲノムワイド関連研究の結果は、常染色体からY染色体までの遺伝子重複がグッピーの伴性色の変異の大部分を占めていることを示唆しており、この古典的なモデル特性の変異を維持するための潜在的なメカニズムを示しています。


オスの色彩は、ほぼすべての染色体によって決められているようです。「常染色体からY染色体までの遺伝子重複がグッピーの伴性色の変異の大部分を占めている」ということですが、なぜメスの色彩が極めて地味な理由もわかったのでしょうか?

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