お茶(タンニン)と鉄欠乏性貧血やフェリチンとの関係

コーヒーや緑茶をよく飲む人ほど“隠れ貧血”のリスクあり
以下は、記事の抜粋です。


このほど、日本人の中高年を対象とした研究で、コーヒーや緑茶の摂取量が多い人は、血清フェリチン値が低い“隠れ貧血”の傾向があることが分かりました。さらに閉経後の女性では、鉄欠乏症にも関係していました。

鉄は酸素の運搬や造血などに必須な微量栄養素で、生命の維持に欠かせません。一方で、体内の過剰な鉄は酸化ストレスを増強させ、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)などのリスクを高めることも知られています。

コーヒーと緑茶は健康に多様な利益をもたらすことが示されており、その理由の一つは、コーヒーと緑茶が腸における鉄の吸収を妨げることにより、体内の貯蔵鉄を減らし、酸化ストレスを軽減するからではないかと考えられています。

医薬基盤・健康・栄養研究所の南里妃名子氏らは、佐賀県の中高年者1万人余りを対象として、コーヒー・緑茶の摂取量と血清フェリチン値、ならびに鉄欠乏症の関係を検討することにしました。

体の中の鉄は、6~7割が赤血球の中のヘモグロビンに存在し、残りは肝臓や脾臓、骨髄などに貯蔵鉄として蓄えられています。フェリチン値は貯蔵鉄の指標で、血清フェリチン1μg/Lが貯蔵鉄8~10mgに相当し、生体内の鉄の状態をよく反映するといわれています。

鉄の欠乏によって起こる貧血(鉄欠乏性貧血)は、貯蔵鉄が減少することから始まり、その後、血清鉄が減少し、最後にヘモグロビンが低下します。健康診断ではヘモグロビン値に基づいて貧血を判定しますが、ヘモグロビン値では初期の貧血は検出できません。フェリチン値を測定すれば貯蔵鉄の状態が分かり、初期の貧血(“隠れ貧血”とも呼ばれます)を検出できます。

分析に用いたのは、日本多施設共同コーホート研究(J-MICC Study)の一環として佐賀地区で行われた、「Saga J-MICC Study」のデータです。6万1447人(40~69歳)の参加者のうち、心血管疾患やがん、肝臓病、慢性腎臓病などの病歴がなく、コーヒーと緑茶の摂取頻度などの必要な情報がそろっていた1万435人を分析対象としました。

対象者の血清フェリチンの中央値は、男性が115.0μg/L、閉経前の女性は13.7μg/L、閉経後の女性は63.7μg/Lでした。

男性と閉経後の女性では、コーヒーと緑茶の両方で、摂取量が多い人ほど血清フェリチン値が低い傾向が有意になりました。閉経前の女性では、緑茶についてのみ、摂取量が多いほどフェリチン値が低い傾向が認められました。

続いて、血清フェリチン値が12μg/L未満の場合を鉄欠乏症と定義し、コーヒーと緑茶の摂取量との関係を調べました。その結果、閉経女性において、これらの摂取量と鉄欠乏症の割合の間には逆相関関係が見られました。特に、コーヒーを1日に3杯以上摂取していた閉経女性を、全く飲まない女性と比較すると、鉄欠乏のオッズ比は2.2と、有意な上昇を示しました。

今回の研究では、コーヒーと緑茶の摂取が増えるとフェリチン値が低下する傾向があることが示されました。さらに閉経女性では、鉄欠乏症患者の増加とも関係していました。


不思議なことに、この記事にはお茶を飲んで鉄の吸収が悪くなる理由が書かれていません。お茶、特に緑茶や紅茶、ウーロン茶にはタンニンが含まれており、これが鉄の吸収を妨げる可能性があります。以下は、論文の「議論」に書かれている考察です。


紅茶には鉄の吸収を阻害するタンニンが大量に含まれ、紅茶摂取量と血清フェリチン値の関係については、一貫していない結果が示されており、緑茶とは有意な相関が見られるものの、紅茶やハーブティーとは相関が見られないという研究もある。これは、紅茶の摂取タイミングや摂取方法、鉄吸収への影響が異なるためと考えられる。緑茶は一般的に食中または食後すぐに摂取されるが、紅茶は食間に飲まれるのが一般的である。これらの飲み物を食事の直前に摂取すると、人間の鉄の吸収が阻害されることを考えると、緑茶や紅茶の摂取タイミングや方法に影響を与える文化的要因が、食事からの鉄の吸収量に影響を与える可能性があると考えられます。

閉経後女性では、エストロゲン レベルの低下によってヘプシジン産生が増加し、鉄のバイオアベイラビリティが低下することが報告されています。そのため、閉経後女性は、主にコーヒーの過剰摂取とヘプシジン ホルモン値の上昇により、食事からの鉄吸収が減少するため、鉄欠乏症のリスクが高まる可能性があります。


貧血気味のヒトは、食事と同時あるいは直前・直後にお茶を飲むのは止めときましょう。

+1

コメント

タイトルとURLをコピーしました