MERSの日本第1例を捕捉できるか?
以下は、記事の抜粋です。
中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome;MERS)とは、2012年9月にサウジアラビアで発見されたコロナウイルスの一種(MERS-CoV)による感染症です。
このウイルスに感染すると、ふつうは発熱に加えて、鼻水、咳、咽頭痛などの上気道症状を認めます。まあ、風邪ですね。ところが、一部のヒトでは、ウイルス性肺炎に至ることがあり、こうなると重症で、死に至ることもあります。ここが、風邪と違うところ。免疫不全状態にある人や心疾患、呼吸器疾患のある高齢者、そして小児は重症化についての注意が必要だと考えられています。
これまで、ヒトからヒトへの感染は限定的とされていましたが、韓国では二次感染(ヒトからヒトへの感染)、三次感染(ヒトから感染したヒトからヒトへの感染)も確認されているようです。
いまのところ感染が確認されている国は、中東諸国のほか、アメリカ合衆国、イタリア、英国、オーストリア、オランダ、ギリシャ、ドイツ、フランス、トルコ、アルジェリア、エジプト、チュニジア、フィリピン、マレーシア、韓国ということです。
ここで、「ああ、中東以外では市中で流行していないんだな」と考えちゃダメです。なぜなら、ほとんどの国々では、中東を旅行した人のうち、医療機関を受診するぐらい症状の重い患者さんでしか検査してないからです。
今回の韓国におけるMERSの広がり方をみて、私は確信していますが、アジアのイスラム諸国ではすでに流行しているはずです。とくに人口過密なパキスタン、バングラデシュ、インドネシアではね・・・。
というわけで、「日本におけるMERS第1例を発見するよう、政府に期待するのはやめましょう」そもそも、軽症者は病院に来ていないはずなのに、受診する患者さんだけ徹底して調べていても、第1例が発見できるはずもないでしょう。
いや、元も子もないことを言わせていただくと、すでに日本国内で発生しているかもしれません。持続的流行があるとまでは言いませんが、すでに孤発例があってもおかしくないですよ。自然治癒しているような孤発例にまでこだわりすぎると、感染対策上も逆効果であることを理解してください。
MERSの症状が軽い場合は風邪と区別がつかないということを考えれば、実は、韓国でも日本でもすでに発生していて、韓国では偶然うまく発見されただけかもしれないというのは、十分にありえると思います。
新型インフルに対する必死の「水際作戦」にもかかわらず、いつの間にか神戸で持続的流行が発生していたことを思い出します。
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