米大学研究チーム発表のがん治療 末期患者のがん細胞が消滅
以下は、記事の抜粋です。
米ペンシルベニア州フィラデルフィアで4月18~22日、世界最先端のがん治療研究が発表される「米国がん研究会議」で、米ジョンズ・ホプキンス大学キンメルがんセンターの研究チームが、新しい治療法の効果について発表を行なった。
研究チームは、それまでの治療法では手の施しようがないタイプの乳がんに冒され、すでに他部位にも転移している患者21人に新薬を投与した。その結果、4分の1以上の患者に効果があり、そのうち2人はがん細胞が縮小、2人は検査でがん細胞が検出されない「寛解」と呼ばれる状態になったという。この新薬は「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる。
がん細胞には免疫細胞の攻撃に“ブレーキ”をかけるタンパク質が備わっています。がん細胞の表面にある『PD-L1』というタンパク質が、免疫細胞の『PD-1』に働きかけると免疫の攻撃がストップしてしまうことを『免疫チェックポイント』と呼んでいます。その免疫チェックポイントを無効にして、免疫系が攻撃できるようにするのが、免疫チェックポイント阻害薬のメカニズムです。
以下に、同じ発表のもう少し詳しい記事があります。
乳がんにも「免役チェックポイント阻害薬」、厄介なトリプルネガティブでも有効か
上の記事と上の記事に引用されている英語のニュースによると、対象となった乳がんは「トリプルネガティブ」というタイプで、使ったのはPD-L1を標的とする抗体”MPDL3280A”のようです。
研究では、トリプルネガティブ乳がんの患者をPD-L1ポジティブとネガティブに分け、PD-L1ポジティブの21人について臨床的な効果を評価したようです。PD-L1ネガティブの場合、MPDL3280Aは効かないのだと思います。よくわかりませんが、PD-L1ポジティブでも効かない患者がいるようです。今後は、PD-L1の有無ががん治療で重要になるかもしれません。
MPDL3280Aは、ロシュによって開発されたモノクローナル抗体で、腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞上に発現しているPD-L1を標的とし、T細胞表面上のPD-1およびB7.1との結合を阻害するように設計されているそうです。小野薬品がBMSと共同開発したオプジーボ®(一般名:ニボルマブ、抗PD-1抗体)とは異なります。
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