皮膚をケガした直後に食べたものはアレルギーになりやすい可能性
以下は、記事の抜粋です。
食物アレルギーは皮膚炎などの皮膚疾患を持つ人に多く見られることが過去の研究で判明していました。イェール大学のダニエル・A・ワイズマン氏やイザベラ・ブラウン・ソレル氏らの研究によって、食べたことのない食品を初めて口にするとき、皮膚に新しい切り傷などがあると食品に対するアレルギーを発症する可能性が高くなることが示されました。
研究では、マウスを用いて皮膚に損傷を受けた直後に新しい食品を摂取したときの反応を調べています。結果として、皮膚に損傷を受けた直後に新しい食品を腸内に入れられたマウスは、その食品に対してアレルギー反応を起こすことが発見されました。
皮膚が損傷されると「体液性反応」と呼ばれる免疫反応が引き起こされます。細胞伝達物質のサイトカインによりB細胞が刺激されると、B細胞が形質細胞へと分化して大量の抗体を産生し、抗体は体液中を循環して全身に広がります。これにより、傷口からウイルスや毒素が入って傷が悪化したり体調を悪くしたりすることを防ぎます。
ワイズマン氏らの論文によると、サイトカインが引き起こす全身の抗体反応は、異なる部位から取り込まれた抗原に対してもアレルギー反応を引き起こすと考えられるそうです。研究者らはこれを「遠隔プライミング」と呼んでいます。
本来、感染や外敵から体を守るための抗原反応が、皮膚の傷と腸の食品という「空間的に離れた抗原」にも反応して食物アレルギーを形成しうるということが示されたのは、この論文が初めてです。皮膚の損傷と食物アレルギーの関連が観察されたのはマウスだけであり、人間でも同様に確認されるかは不明。
元論文のタイトルは、”Skin damage signals mediate allergic sensitization to spatially unlinked antigen(皮膚損傷シグナルは空間的にリンクしていない抗原に対するアレルギー感作を媒介する)”です(論文をみる)。
説明をみればあたりまえに見えますが、なかなかおもしろい発想の研究です。

特に食物アレルギーに関して、私たちの皮膚と腸には意外な関係がある。
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