急性上気道炎での抗菌薬投与はほとんど不要

急性上気道炎での抗菌薬投与は本当に不要?
以下にかかれているように、風邪(感冒)の診断で抗菌薬(いわゆる「抗生物質」)をルーチンに投与するのはヤブ医者です。


ほとんどの場合は不要です。ただし、「急性上気道炎」という言葉が何を意味しているかによって若干異なります。

上気道炎後の肺炎、咽頭炎後の咽頭膿瘍、中耳炎後の乳突蜂巣炎に対し、抗菌薬の予防効果が得られたという研究がありますが、これらに対する抗菌薬のNNT(Number Needed to Treat:1人の治療効果を得るために必要な患者数)は4,000以上でした。

すなわち4,000人の上気道炎患者に抗菌薬を処方してはじめて1人の肺炎を予防することができるというものです。

別の研究でも非特異的な気道感染症に対して抗菌薬は肺炎による入院を有意に減らしたというものがありますが、これに対するNNTは1万2,255でした。抗菌薬は副作用がない薬ではありませんので、4,000~1万2,000人に投与して1人の肺炎が予防できるといっても、ほかの患者さんに副作用を強いることになるので、急性上気道炎患者にルーチンとして抗菌薬を処方するのは割に合わないことだと思います。

2017年6月に厚生労働省から「抗微生物薬適正使用の手引き 第一版」が発行され、現在は第3版まで発行されています。急性気道感染症を感冒、急性鼻副鼻腔炎、急性咽頭炎、急性気管支炎に分類され、抗菌薬の必要性は下の表のようにまとめられています。

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